ラヴ・ペアシリーズ(1)(2) 魔女でもステディ+女神にグッバイ/岬兄悟/ハヤカワ文庫JA


1985年、まだ電撃どころかスニーカーもファンタジアもなかった頃にハヤカワから刊行された、オチモノブコメラノベの大ご先祖様……かもしれない。ソノラマも伝奇、SF、ミステリといったジャンルがメインだった筈で、こういうドタバタラブコメを小説でやるってこと事態が非常に珍しかったんじゃないかなーと思うものの、当時その場にいたわけではないのでなんとも言えず。まあラブコメっていってもどっちかというと不条理SFとしての側面のほうが強いんだけど。この1、2巻を読んだ限りではハーレム要素は無いのが惜しい。ヒロインが主人公のところに押し掛け女房しに来てからすぐにSEXしちゃってるのはかえって新鮮。ヒロインが主人公のところを訪れる理由を、彼女は人類男子の集合的無意識のような世界「アニマ・アムニス:からやってきた、主人公にとっての理想的存在であるとかなんとか理由付けしてる(プラトンが元ネタらしい)辺りは、この頃既にオチモノヒロインってある程度確立されててそれを皮肉ってるのかなーとか思った。「うる星やつら」が1978年連載開始かー。2巻目では主人公とヒロインがSEXすると文字通り合体し両性具有の存在となってしまうという設定で、ある種のTS物っぽい展開に。


不勉強ながら作者の岬兄悟って随分長いこと「ファンタジア大賞の審査委員の人」って認識で、何を書いてるのかよく知らなかったんだけど、なるほどこういうのを出してたとなれば色々納得だわ。ちなみにOVAなども出たらしい。00年代に入ってから徳間デュアル文庫で1巻のみが復刊されている。イラストはとり・みきから陸乃家鴨へ。