はてなブログに引っ越します、引っ越しました
twitterにweb上の生活拠点を移してから、こちらの更新頻度が滞りだして早云年。これを機にリニューアルしようか、いっそ潰そうか、グダグダと先延ばしにしていた当日記ですが、この度、長文はブログ、それ以外はTwitterという姿勢をより明確なものにするため、意を決してはてなブログに移転することにしました(意を決したとかゆってるわりにまたはてな……)
書くことは多分こちらとほとんど変わらず、アニメやラノベのことになるでしょう。過去記事を引越し先にインポートするどうかはまだ考え中。ただ、少なくともこちらで新規に文章を書くことはもうないと思います。「はてなキーワード」という機能に惚れ込んで利用し始めてから、長いことお世話になりました。
引っ越しついでに最近の、ネット人格としてのid:megyumiの近況報告。twitterが生活拠点になっているのは現在も変わりませんが、最近はamazonカスタマーレビューやnaverまとめでもぼちぼち文章を書くようになりました。あとwikipediaのラノベ作家の項目とかも気が向いた時に編集してます。
https://twitter.com/megyumi
http://matome.naver.jp/mymatome/sube2
https://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-reviews/A2EED4DLNOMIC1
これらは今後もブログと並行して利用していくつもりです。ライトノベルというか小説に関しては、プライマリはずっと石川博品。秋田禎信は改めて言及するまでもないかなーというポジションに。アニメは長いこと「ジュエルペット」シリーズと「クレヨンしんちゃん」の二本を軸に、話題になっているものをちょこちょこ観るという感じ。だったのですが、「ジュエルペット」が7期で終了してしまい、どうしようかなーというところ。まあ元々年によって観たり観なかったりではあったのですが……。去年の夏頃から観始めてようやく最新話に追いついた「アイカツ!」は、自分の中での長寿アニメ枠として定着してくれるかどうか。アイドルとゆえば2015年夏のアイマス10thライブに連れて行ってもらって以来、絶対にハマるまいと思っていたオタク系のイベントににわかに興味を持ち始めているようです。年末には、「花のかたち」からずっとお耳の恋人だった新居昭乃さんのライブに行ってきました。HENTAI方面では、同人サークル「夜のひつじ」
のセンシティブな文章にハマっています。こちらは引越し先なりなんなりでまた言及することもあるかと。
そしてもう一つ。このはてなダイアリー以前に、わたしがISPのホームページスペースで運営していた個人ニュースサイトがありました。今でもごくたまに覚えてると言ってくださる方がいらっしゃる、自分にとってのネット活動の原点のようなあのサイトの跡地は、プロバイダの変更に伴い、消滅しました。今回の移転はそれを意識した……わけではないのですが、なんか、そういう時期なんでしょうか。2015年ですし。いやもう2016年か。
といったところで、近況についても、こんなところで。はてなブログに移ってからも、できれば変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いします。
プロのイラストレーターが使用するお絵描き関連ソフト2013
2013年発売の「ライトノベルジャケット・コレクション」に「作業環境のソフトとバージョン」として載ってたやつです。
- 作者: 海老沢秀暁
- 出版社/メーカー: グラフィック社
- 発売日: 2013/05/07
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
掲載されている101名の内83名が回答。その中で、何らかのアナログな手法?を挙げているのは、竹岡美穂、深遊、山田章博、ミギー、CHOCO、THORES柴本の6名でした。
イラストレーター名 | 作業環境のソフトとバージョン | |
---|---|---|
029 | Photoshop7.0、SAI等 | |
abec | _ | |
BUNBUN | Photoshop CS3、SAI | |
CARNELIAN | Photoshop CS5 | |
CHOCO | Photoshop CS6、ぺんてる0.2mm | |
CUTEG | Photoshop CS5、SAI | |
Ein | Photoshop CS5、IllusutratorCS6、Painter9.5/12 modo601、Light Wave10、ZBrush4R5、CLIP STUDIO PAINT(64bit)、Illust Studio | |
HIMA | Photoshop CS5、SAI、CLIP STUDIO PAINT PRO | |
Ixy | Photoshop CS5、CLIP STUDIO PAINT EX | |
KEI | PhotoshopCS5、Painter11 | |
Nardack | _ | |
Pako | Painter6 | |
refeia | Photoshop CS6 | |
THORES柴本 | リキテックス、アクリルガッシュのアクリル水彩絵具、モデリングペーストやテクスチャーメディウム類。コピックマルチライナー他 | |
VOFAN | Photoshop CS6 | |
x6suke | Photoshop CS4、CLIP STUDIO PAINT EX、Painter IX.5 | |
あなぽん | Photoshop CS5、SAI | |
あるや | Photoshop CS4、CLIP STUDIO PAINT EX | |
エナミカツミ | Photoshop CS4、CLIP STUDIO PAINT | |
えれっと | _ | |
カントク | Photoshop7.0 | |
こぶいち | _ | |
こぶいち、むりりん | _ | |
さとやす | Photoshop CS4、CLIP STUDIO PAINT | |
シコルスキー | Photoshop CS5、CLIP STUDIO PAINT | |
すみ兵 | Photoshop CS6、SAI | |
つなこ | Photoshop CS3、SAI | |
ともぞ | Photoshop CS6、SAI、Comic StudioEX | |
とりしも | _ | |
なかじまゆか | PhotoshopCS5、CLIP STUDIO PAINT | |
なまにくATK | Photoshop CS5 | |
のん | _ | |
はいむらきよたか | Photoshop CS6 | |
ひなた睦月 | _ | |
ひびき玲音 | _ | |
プリンプリン | Photoshop CS5、SAI | |
ぺこ | _ | |
ぽんかん8 | Photoshop CS3、SAI | |
まごまご | Photoshop CS5、SAI | |
マニャ子 | Photoshop CS5、CLIP STUDIO PAINT EX | |
ミギー | 鉛筆・透明水彩 | |
みやま零 | Photoshop CS4 | |
ゆーげん | Photoshop CS2、illusrator CS2 | |
よし☆ヲ | Photoshop CS2、SAI、ArtStudio(iPad) | |
るろお | Photoshop CS6、SAI | |
亜方逸樹 | Photoshop CS5、SAI | |
赤井てら | SAI、Cubtiq 12WX | |
甘福あまね | Photoshop CS、Comic Studio EX4.0 | |
文倉十 | Photoshop CS5 | |
一葉モカ | openCanVas | |
狗神煌 | _ | |
茨乃 | Photoshop7.0、SAI | |
岩崎美奈子 | Painter 12 | |
兎塚エイジ | Photoshop5.5、SAI | |
牛木義隆 | Comic StudioEX4、CLIP STUDIO PAINT EX | |
閏月戈 | Photoshop CS4、SAI | |
上田夢人 | Photoshop 5.0 | |
植田亮 | Photoshop CS6、Painter9.5 | |
緒方剛志 | Photoshop CS5.1、Painter IX | |
尾崎弘宜 | Photoshop CS3、ComicStudioEX4 | |
尾谷おさむ | Painter X | |
春日歩 | Photoshop CS2、SAI | |
桂井よしあき | Photoshop CS6、SAI、Comic StudioEX | |
籠目 | Photoshop CS5、SAI | |
岸田メル | _ | |
菊池政治 | Photoshop CS4 | |
京極しん | ComicStudion EX4.0、SAI | |
草河遊也 | _ | |
椋本夏夜 | Photoshop CS6、Painter5.5j、Comic Studio EX4.0、SAI | |
櫛枝りこ | Photoshop CS5、SAI | |
近衛乙嗣 | Photoshop CS4 | |
駒都えーじ | Photoshop5.5、Photoshop CS5、SAI、ThinkPad X220 Tablet | |
越島はぐ | _ | |
狐印 | Photoshop CS6、CLIP STUDIO PAINT EX、Comic Studio、SAI | |
魚 | Photoshop5.0〜Photoshop CS5、SAI等 | |
島田フミカネ | _ | |
屡那 | Photoshop CS5 | |
紫乃櫂人 | Photoshop CS5、SAI | |
鈴見敦 | Photoshop CS5、Comic Studio EX4.0、Painter X | |
瀬田ヒナコ | 当時はPhotoshop5.0j | |
竹岡美穂 | Photoshop CS2&CS5、Painter12、他アナログ | |
高階@聖人 | Photoshop CS6、SAI | |
津雪 | Photoshop7.0、SAI | |
蔓木鋼音 | _ | |
綱島志朗 | Photoshop5.5、Photoshop7.0 | |
戸部淑 | Photoshop 5.5 | |
七草 | Photoshop CS5、Painter11 | |
鍋島テツヒロ | SAI | |
二ノ膳 | Photoshop CS5、SAI | |
八宝備仁 | Photoshop5.5、Photoshop CS5、SAI等 | |
原田たけひと | Photoshop CS4 | |
左 | _ | |
藤田香 | Photoshop CS5、Painter X | |
松本テマリ | Photoshop CS4 | |
深遊 | アナログ | |
皆村春樹 | Photoshop CS3、SAI | |
三月まうす | Photoshop7.0、Illustrator、SAI | |
森沢晴行 | Photoshop7.0j、SAI | |
山田章博 | パソコンソフトを一切使っていません。紙にインクと絵具で彩色。 | |
山本ケイジ(超肉) | Photoshop 7.0、SAI | |
山本ヤマト | _ |
秋田禎信作品電子書籍化状況一覧
「オーフェン」新シリーズ番外編以外、全て完結済みです。版元を変えず単行本から文庫、もしくは新装版が刊行されたものについては刊行年に追記してあります。リンク先はbookwalkerになっていますが、電子化されているものは全てkindleなどでも配信されています。
紙媒体発行年 | 版元 | タイトル |
---|---|---|
1992 | 富士見書房 | ひとつ火の粉の雪の中 |
1994-2003 | 富士見書房 | 魔術士オーフェンはぐれ旅 20巻 |
1996-2003 | 富士見書房 | 魔術士オーフェン無謀編 13巻 |
1997-1998 | 富士見書房 | 魔術士オーフェンまわり道 2巻 |
2000-2004 | 富士見書房 | エンジェル・ハウリング 10巻 |
2001 | 富士見書房 | 閉鎖のシステム |
2003-2004 | 角川書店 | シャンク!!ザ・レイトストーリー 2巻 |
2004 | 富士見書房 | 突撃アンソロジー 小説創るぜ!(「スペル・ブレイク・トリガー!」収録) |
2005-2006 | 角川書店 | シャンク!!ザ・ロードストーリー 2巻 |
2005 | 富士見書房 | 愛と哀しみのエスパーマン |
2005、2013 | 富士見書房 | スレイヤーズvsオーフェン(共著:神坂一) |
2007、2010 | 講談社 | カナスピカ |
2008 | TOブックス | 誰しもそうだけど、俺たちは就職しないとならない |
2008 | 講談社 | RD 潜脳調査室 Redeemable Dream(原作:士郎正宗、Production I.G.) |
2009 | TOブックス | 秋田禎信BOX |
2010 | 講談社 | 魔界探偵冥王星O ホーマーのH(越前魔太郎名義、原作:舞城王太郎) |
2010 | 角川書店 | ベティ・ザ・キッド 上下 |
2010 | 文芸春秋 | 機械の仮病(文藝春秋) |
2011、2013 | TOブックス | ハンターダーク |
2011-2014 | TOブックス | 魔術士オーフェンはぐれ旅 新シリーズ 8巻 |
2011-2012 | TOブックス | 魔術士オーフェンはぐれ旅 新装版 10巻 |
2012-2013 | TOブックス | 魔術士オーフェン しゃべる無謀編 7巻 |
2013-2015 | 講談社 | 巡ル結魂者 5巻 |
2013 | 富士見書房 | メックタイタンガジェット 虐殺機イクシアント(神坂一とのコラボ企画) |
2014- | TOブックス | 魔術士オーフェンはぐれ旅新シリーズ番外編 |
2014 | 新潮社 | ひとつ火の粉の雪の中 |
2015 | 富士見書房 | スレイヤーズ25周年あんそろじー(原作:神坂一、「ゼフィーリアの悪魔」収録) |
2015 | 集英社 | 血界戦線 オンリー・ア・ペイパームーン(原作:内藤泰弘) |
- 「ひとつ火の粉」新潮文庫nex版は加筆修正あり。またイラストが旧版の若菜等+kiから遠田志帆へ変更。
- 「オーフェン」シリーズは、現在TOブックスで展開しており、電子書籍もそちらから出ています。
- はぐれ旅新装版は旧版2冊分を1冊にまとめた合本版。
- しゃべる無謀編は同じく旧版2冊分の合本版ですが、プレ編が新たに書き下ろされ、雑誌連載時のイラストも全て収録されています。最終巻は1冊分+書き下ろし2編。ただし旧プレ編は、はぐれ旅新装版全巻購入特典として別に1冊にまとめられため、一般流通しておらず、電子書籍化の予定も今のところありません。また特典として付属していたドラマCD(「しゃべる」のタイトル通り)も電子版は未収録。
- 「秋田禎信BOX」は収録作品の内、「キエサルヒマの終端」「約束の地で」のみ「オーフェン」新シリーズの1、2巻目として再版、電子化されています。
- 新シリーズ番外編も紙媒体はドラマCD付属しています。
- 「スレvsオー」電子版には、2013年の新装版では削られた、秋田神坂両名による製作過程のチャットログが収録されています。
- 「シャンク!!」レイトストーリー電子版には、依澄れいによる雑誌連載時の挿絵を収録。
- 同ロードストーリー電子版においては、つたえゆずによるイラストが紙媒体から一部描き直されています。
他に野性時代に掲載された「籠の中の15分」、ニトロプラスのゲーム「装甲悪鬼村正」アンソロジーディスクに収録された「愛しい香奈枝さんの装甲悪鬼村」などの単行本未収録作品がありますが、いずれも電子化されていません。
牙の塔の劣等生
指輪物語のエルフ、ガンダムのニュータイプ、星界シリーズのアーヴ。古今東西の物語は理想化されたもしくは現在の人類の未知の可能性として、新人類、亜人種といったものを数多登場させてきたが、「魔術士オーフェン」シリーズ(1994-)における人間の魔術士もその内のひとつだ。
わたしはできれば、魔術戦士などという肩書きで戦力として数えられるのは嫌だね。納屋の農具と同じ数え方をされてる気がする。
この世界では、人間の魔術の素養は、遠い昔に滅んだ異種族との混血に因る。完全に遺伝的なものなので絶対数が少ない上、訓練に数年かかり、その過程で魔術を暴発させ死んでいく人間も珍しくない。その才能に気づかず眠らせたままということもままあるようだ。
魔術は便利な能力だが、神々の扱う魔法と違い万能というわけではない。人間のそれは音声魔術と呼ばれ声をトリガーとしていて、声が届かない範囲には効力が及ばす、持続時間も短い。明かりを出すような簡単な魔術でも保って一時間とされている。また一部の例外を除いていわゆる物理面にしか作用しない。これらに加え強い力を持つ者への非魔術士の偏見、差別とそれに呼応する魔術士社会の閉鎖性により、設定としては、人間社会全体が魔術がないと立ち行かない、というレベルまでは至っていない。ただ比較的魔術への抵抗が薄い土地ではジュースの氷を作ったり救急医療の最終手段といったこともあるようだ。
さて、我らが主人公オーフェンは、魔術士養成機関の最高峰〈牙の塔〉のエリートである。彼を含めた同窓生は皆魔術、特に戦闘に用いるそれのエキスパートだ。では、彼らが便利で有意義な能力の持ち主だからエリートなのかというと、間違ってはいないが、それだけではないのではないか。
ひとつには、魔術士が迫害されていた時代ほど生命を脅かされることがなくなり、軍事力としての魔術がそれほど必要とされていない、という背景がある。また十数年かけて魔術を身につけても、前述したような理由から、それを活かす就職口があるとは限らない、という現代におけるポスドク問題のような事例も作中で報告されている。要は、魔術自体はなるほど有用な能力かもしれないが、マッチングがうまくいかなければ意味がない、ということだ。例外は多分作中唯一の公に認められた魔術士の軍事組織である《十三使徒》と、作中魔術士の職業?として最も多く登場する「教師」くらいか。
ていうか、十何年もさんざん苦労して魔術の制御法を訓練してきたあげく、地下書庫で誰も読まない古本の整理とか犬一匹近寄らない遺跡の警備とか魔術を使って氷作りとかの仕事に回されると、いきなり自分の人生に疑問を持っちゃう人がたくさんいるみたいです!困ったもんですね
では何故、(少なくとも作中に登場した限りでは)魔術士のエリート=(戦闘用)魔術の実践的な使い手であるかというと、これはどちらかというと優秀であることの象徴、あるいは精神性が大きいのではないか。自制を尊ぶ魔術士であるから、自らの能力に振り回されず使いこなすことができる奴が偉い。迫害を受けてきた歴史から独立独歩を旨とするため、それを可能にする武力を持ってる奴が偉い。また魔術を使用するための構成理論は難解であるから、知能の高さも保証される(《塔》ではこれと並行して一般教養についてもレベルの高い高等教育を行っているそうだが)。
それは恐らく、現実の就職活動においてしばしば、高校野球で甲子園の土を踏んだとか、そこまでいかなくとも体育会系出身者が高学歴者同様に企業に求められる、というのと根っこの理屈は同じだと思う。別に企業は野球をさせたいわけではないけれど、ある種の精神的功夫をそこに求めて、彼らを採用したがる。魔術士社会もそこを重視する。そして精神性の問題であるからこそ、ただでさえ前時代的な、暗殺者なんていう存在であるキリランシェロは、ちやほやされると同時に疎まれ、一度人生のタイトロープから転落したらそれまでだったのではないだろうか。
魔法科高校の劣等生がらみの話題を眺めながら、そんなことを考えた。
神坂一×秋田禎信、愛の劇場
神坂一(50)と秋田禎信(41)の仲がここに来て急速に接近しているように見え、ファンをやきもきさせている。
「スレイヤーズ」と「オーフェン」。共に往年のファンタジア文庫ひいてはライトノベルを支えた作家ということで以前から親交はあったようだが、相次ぐコラボやTwitterの普及による交際アピールでそのアツアツぶりが明るみに出たというのが真相のようだ。
事情通によると専ら年下の秋田の方が積極的とか。
そこで本ブログでは、20年以上の交際から特に印象深いエピソードを選んでみた。
秋田「スレイヤーズの読者から作家デビューした第1号は私」
「スレイヤーズ!」の初版が1990年1月。秋田がデビューした第3回ファンタジア長編小説大賞の締め切りが同年夏。この時点で秋田は17歳であり、同世代でスレイヤーズに影響を受けた作家の登場は、少し後のことになる。そういうことを考えても、秋田の発言はあながち的外れではないだろう。
秋田の「スレイヤーズ」に対する感想はこちらで少しだけ垣間見える。
http://gigazine.net/news/20120210-yoshinobu-akita-yomi-hirasaka-interview/
一番好きなキャラは意外にも?アメリアとのこと。
なお、秋田のデビュー作「ひとつ火の粉の雪の中」自体は「スレイヤーズ」とは似ても似つかないものである。
- 作者: 秋田禎信,遠田志帆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/12/22
- メディア: 文庫
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初対面から息のあった連携を見せる二人
1991年、1992年辺りの富士見書房謝恩会での出来事だろうか。こばめぐ=「ねこたま」「必殺お探し人」「食卓にビールを」などで有名な作家・小林めぐみのこと。彼女も秋田同様新人賞応募時17歳という若さでデビューしている(小林が第2回の入選なので秋田のいち学年年上)
「オーフェン」、「スレイヤーズ」と共にファンタジア文庫の看板として人気を得る
- 作者: 秋田禎信
- 出版社/メーカー: TOブックス
- 発売日: 2012/10/13
- メディア: Kindle版
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「オーフェン」は「スレイヤーズ」の4年後、1994年にシリーズ開始。無論同シリーズは同シリーズとして独自の人気を博したのだが、シリアスな長編とギャグ短編の組み合わせなどはやはり「スレイヤーズ」の成功あってこそのものだろう。1998年のアニメ化に際してもポスト・スレイヤーズを狙っていくという雰囲気はあったようだ。
「スレイヤーズvsオーフェン」刊行
コラボ企画第1弾。2001年にドラゴンマガジン増刊に掲載、2005年に限定単行本化、2013年に再販。双方共に自分のキャラクターの台詞は自分で執筆している。秋田が担当したオーフェン視点ではリナが大絶賛されているのが微笑ましい。執筆に当たり連日チャットを重ねたことが、東京在住の秋田と大阪在住の神坂の距離を縮めた。このチャットログは、電子書籍版に特典として収録されている。企画の一環として、イラストレーターのあらいずみるい草河遊也両氏を交えたボーリングやカラオケ大会も行なわれた。その様子は上記の増刊に収録されている。
会うたびにしょうもない土産を渡し合う
遠恋か!
猫の写真を送り合ったりもしていたらしい。
秋田が神坂に300万使わせる
http://www.tobooks.jp/interview/index.html
2005年。水木しげるロードの一体100万円の妖怪寄贈×3は、秋田禎信が発端だった!漫画編集は、担当している人気作家の飢餓感を煽るため、マンションや高級車を買わせるというが……。冗談で言ったところ神坂が本気にして秋田が驚いた、という辺りに、リードしているのは秋田のようで実は主導権は神坂が握っているという関係が伺える。
「メックタイタンガジェット」刊行
- 作者: 秋田禎信,小笠原智史
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2013/10/17
- メディア: 単行本
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メックタイタン ガジェット 巨甲闘士グランアース (単行本)
- 作者: 神坂一,林啓太,林哲也
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2013/10/17
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (6件) を見る
2013年刊行。コラボ第2弾。同じ主人公で神坂がスーパーロボット、秋田がリアルロボット風小説を執筆するという試み。元々は神坂の新作のための勉強会(温泉付き)を秋田と二人で行なっていたのが昂じて合作という形になったらしい。
第3弾募集中。
富士見25周年祭トークイベント
前述の「スレオー」「メタガ」と連動したトークイベント。愉快だけどどこか変わり者の兄ちゃんというイメージ(失礼!)がある秋田が楽しくいじり、神坂が寛容にそれを受け止める姿にファンは嫉妬を覚えたとか覚えなかったとか。当日はあらいずみ☆るいも観覧していて、彼を見つけた秋田はしきりに壇上へ誘ったが、二人の仲のよさに気が引けたのか丁重に辞退していた。
「スレイヤーズ25周年あんそろじー」に秋田が参加
コラボ第3弾。2015年1月刊行。ファンを大切にし、公認サイトでのQ&Aでも丁寧な受け答えをしている神坂に、秋田が「スレイヤーズ」の設定について聞いたところ、「よく分かんない」「考えてない」が回答の大部分だったというこぼれ話にニヤニヤ。本作でも秋田は「僕が一番よく神坂さんを知ってるんだ!」(古谷徹)アピールに余念がなかった。
そして……
二人の共通の知人である作家仲間のTは語る。「秋田さん(と自分)は神坂さんに、事あるごとに一生住めるビルをねだっているんです」。
お互い○○歳まで独身だったら一緒に住もうね、という女子の間でお約束のやつだろうか。現在は大阪と東京に離れて暮らしている二人だが、これが実現すればますます近しい間柄になることは想像に難くない。実際にどうなるかは神坂のみぞ知るところだが、いずれにせよどうか末長くお幸せに。
『ひとつ火の粉の雪の中』新潮文庫nex版加筆修正部分一覧
この度、新潮文庫nexから秋田禎信のデビュー作『ひとつ火の粉の雪の中』が復刊される運びとなりました。こういう場合、基本的にほとんど手を加えることがない著者にしては珍しく結構な量修正がされているので、新旧の照合表を作ってみました。
- 作者: 秋田禎信,遠田志帆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/12/22
- メディア: 文庫
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- 作者: 秋田禎信
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 富士見書房
- 発売日: 2014/01/01
- メディア: Kindle版
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富士見ファンタジア文庫版は1997年8月10日発行の八版を、新潮文庫nex版は2015年1月1日発行の初版をソースにしています。
強調のための傍点は、はてなでは出せないので、太字にしています。段落ごと削除或いは追加されたものは、その段落がない方を-で埋めています。複数回出てくる固有名詞については最初に記しました。その場合のページ数は初出のもの。
また、新たに書き下ろされた掌編については当然ながら含んでいません。
固有名詞
富士見版ページ | 富士見版の文章 | 新潮版のページ | 新潮版の文章 |
---|---|---|---|
60 | 天竜、天竜鬼神、天竜八部、 | 60 | 天龍、天龍鬼神、天龍八部 |
68 | 女神(ひめかみ) | 68 | 女神(みながみ)、女神(をみながみ) |
69 | 光覇 | 69 | 極光覇道 |
138 | 真影 | 133 | (大仙魅)ヌイ |
168 | 〈覇者界〉 | 160 | 〈颱帝界〉 |
193 | 十六夜 | 183 | リユヌ |
250 | 死人の法 | 236 | 死人の術 |
序章 鬼の子
富士見版ページ | 富士見版の文章 | 新潮版のページ | 新潮版の文章 |
---|---|---|---|
5 | 風は、ただ流れ往くだけだーーーこの地の上を、そして、ときには下を | 9 | 風は、ただ流れ往くだけだ。この地の上を、そして、ときには下を |
6 | 生と死は常に一つだ。 | 10 | 生と死は常に一つだ。あるべきようにある |
7 | 野良 | 11 | 野良の犬 |
8 | 炎の手に“祝福”された | 12 | 炎の手に撫でられた |
8 | 低いが圧倒されてしまう声を出した | 12 | 囁きを発する |
8 | 鈍らせることはできない | 13 | 鈍らせることはない |
9 | 鬼界の中でも、最も恐れられる稲妻である | 13 | 鬼界の破条、夜の薨去、天下の術でも最も恐れられる稲妻である |
10 | そしてーーーこの大男が何処にも行ってくれそうにないと悟ってーーー | 14 | そしてこの大男が何処にも行ってくれそうにないと悟ってか、 |
12 | 鳳は無視してーーーというより、気をまわすといったようなことを知らないのだろうーーー繰り返した | 15 | 鳳は無視して繰り返したーーーというより、気をまわすといったようなことを知らないのだろう |
12 | そもそも感情を持たないーーー知らないーーー鳳 | 15 | そもそも感情を持たない鳳 |
16 | 夜闇は無邪気に頷いた | 19 | 夜闇は頷いた |
其の一 蜘蛛の里
富士見版ページ | 富士見版の文章 | 新潮版のページ | 新潮版の文章 |
---|---|---|---|
18 | 鈍い輝きを覗かせている | 21 | 鈍い洞を覗かせている |
18 | 表情というものをまるっきり見せない | 21 | 髑髏のごとく顔を変えることがない |
18 | 大男は、にこにこしている少女とは対照的に無感動な声を出した | 21 | 大男は、にこにこしている少女に問いかけた |
19 | いつも通り少女には分からなかったので | 22 | この大男の煙に巻くような物言いは、いつも通り少女には分からなかったので |
19 | 大男は表情をぴくりとも変えない | 22 | 大男は動じない |
22 | 修羅は恐れない | 25 | 鬼斬りの修羅は恐れない |
22 | 記憶さえ持ってはいないのではあるが | 25 | 記憶さえ曖昧なのではあるが |
22 | 常に今の | 25 | 常に今の |
23 | 無表情についていく | 25 | ついていく |
25 | 陶酔の吐息のような声 | 28 | 陶酔の声 |
30 | 夜闇は完全に記憶力というものを欠乏させている | 32 | もの覚えにむらがある夜闇と話をするには、こうした忍耐を要することが多い |
31 | 鳳はそう言うと | 33 | 鳳は |
33 | 表情を変えずーーーつまり眼を陰らせたままーーー答えた | 35 | 表情を変えず答えた |
33 | 不快な表情を見せない | 35 | 不快な気配は見せない |
33 | 普段からは考えられない、長い台詞だった。一つの質問に対して三言も発するなど、滅多にあることではない | 36 | - |
36 | びっくりしたような寝ぼけ続けているような複雑な顔 | 38 | びっくりしたような、あるいは夢でも見続けているような複雑な顔 |
37 | 鳳はそれでも表情を変えず、 | 39 | 鳳はそれでも |
37 | 干し草の上 | 39 | 藁の上 |
37 | 普通の太刀 | 39 | 並の太刀 |
37 | 太刀は興奮して振動していた | 39 | 太刀はわずかに振動していた |
38 | ばたんと干し草の上に倒れた夜闇 | 40 | ばたんと倒れた夜闇 |
42 | 彼女が力を使ったりはしないか | 44 | 彼女がそのために力を使ったりはしないか |
45 | これらの台詞は | 46 | わざわざ言ったのは |
45 | 一本のこより | 47 | 一本の紐 |
48 | 数刻が過ぎた | 49 | 不動の時が過ぎた |
48 | 床が吹き飛びながら陥没した | 49 | 床が吹き飛んだ |
50 | 印を敷いた | 51 | 印を結んだ |
51 | だがそんな時間はなかった。その直後、夜闇の悲鳴が響き渡ったからである。 | 52 | その直後、夜闇の悲鳴が響き渡った |
51 | 実際のところ、ほとんどないと言ってもいい(言っても無駄だからだ) | 53 | はっきりしたことは思い出せないのだが、そうだったように思う |
52 | 夜闇は、大男の感情を示さない無表情を思い出しながら考えた。無愛想な男だが、それなりに彼女には優しいように思う | 53 | 夜闇は、ぼんやりと考えた。無愛想な男だが、それなりに彼女には優しい |
52 | そんなことを考えながら | 53 | そんな気を揉みながら |
52 | 夜闇がびっくりして見ていると、灰になった蝶は彼女の足下に落ちた | 53 | 灰になった蝶は彼女の足下に落ちた |
53 | こより | 54 | 紐 |
其の二 天龍鬼神
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64 | 太刀を杖代わりに、ふらふらと歩いている。半死半生としか言いようがない | 64 | 太刀を杖代わりに、半死半生でふらふらと歩いている |
64 | 七人の武者たちが、彼の傍らに近寄ってくる。彼らとて、かなりの傷を負っているらしかった | 64 | 七人の武者たちが、彼の傍らに近寄ってくる |
66 | 溶岩のような眼光は赤く | 66 | 眼光は溶岩のごとく赤く |
67 | 崩(くず)おれた | 67 | くずおれた |
閑話 修羅の話
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68 | 二つの山の鬼斬りどもは、鬼に屠る、鬼を屠る | 68 | 二つの山の鬼斬りどもは、鬼を屠るものたちであるという |
68 | 人の鬼斬りが叉車山鬼斬り。奴らは鬼を屠るほどの力を持っていない | 68 | 人の鬼斬りが叉車山鬼斬り。であるが実は、奴らは鬼を屠るほどの力を持っていない。鬼を予見し、避けるがせいぜいだ |
72 | その……太刀ですがね | 72 | その……刀ですがね |
74 | (場面転換のための改行あり) | 74 | (なし) |
75 | やがて女も寝入って、夜も更けてきたころ | 74 | やがて夜も更けてきたころ |
76 | 有志を募って交替で | 75 | みんな交替で |
82 | 幻術(まほろば) | 81 | 幻術 |
82 | “狙い”を定めた | 81 | 狙いを定めた |
85 | いつしか、緑水は方円に従い、日は沈み夜は暗く……ただ首方と水方の遠吠えは、いつまでも遠く響き渡る | 84 | 時を忘れるほども斬り続け…… |
其の三 鬼の姿
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103 | 眼の奥のーーーそれこそ外からでは覗けないほど深奥のーーー光 | 100 | 眼の奥の光 | |
103 | 紅蓮の炎を内に秘め、まさにーーー地面の下の溶岩の如し | 100 | 紅蓮の炎を内に秘める | |
104 | 数歩先を気楽に歩いている | 101 | 数歩先を進んでいく | |
104 | そこは、ちょっとした渓谷だった | 101 | そこは、ちょっとした渓谷だった | |
105 | 嬉しがってもらうのも困る | 102 | 嬉しがられるのも困る | |
105 | 突然夜闇が、無邪気そのものといった声で言った | 102 | 夜闇は駆け戻ってくると、いつもとは少し異なる訊き方をした | |
106 | 静かに言った | 103 | 静かに付け加えた | |
106 | 声は相変わらず無感情だ。だが、彼が“遠い日"を明かしたのは初めてである | 103 | 声は相変わらず物静かだ。だが、夜闇の薄ぼんやりとした記憶にもはっきりと分かるほど、それは初事だった。“遠い日"が明かされるというのは | |
106 | つい欲を出して言った | 103 | つい欲を出した | |
107 | この場合、一昨日以前の、ということだ | 104 | - | |
108 | 食らう | 105 | 喰らう | |
112 | 眼を皿のように見開いて、彼女は訝った。驚きが去ると、自然と眉根が寄っていく。まさか、この男から呼びかけることがあったとは、とんでもない新発見である。少なくとも、彼女はそう思った | 109 | 夜闇は眼を皿のように見開いた | |
113 | 呼びかけられるほど悪いことをしただろうか | 109 | 呼びかけられるほど悪いことをしただろうか | |
113 | 無論のことだが | 109 | だが | |
113 | おもむろに怪訝な表情で | 109 | 怪訝な表情で | |
114 | ただの“おしゃべり” | 111 | ただのおしゃべり | |
118 | 夜闇の“正気” | 114 | 夜闇の正気 | |
119 | ものの十秒ほどだろう | 115 | あっという間だ | |
126 | 変に気を紛らわせて | 122 | 変に気がそれて | |
128 | この七結界星と妖刀女神こそが | 123 | 鬼斬りの基となる八極陣と、この七結界星、そして妖刀女神こそが | |
131 | 当たり前だ……鬼は、夜闇の内にいるのだから | 126 | 当たり前だ……鬼は、夜闇の内にいるのだから。奥から扉を開けようと、常にうかがっている | |
133 | 喧嘩を買いまくっている | 127 | 喧嘩を買いまくっている | |
135 | 天地者十二獣王、一の“悟海”! | 129 | 天地者十二獣王、一の“悟海”!獣の主、最大の下僕よ! | |
137 | 鳳は、ふうっと息をついた | 132 | と、鳳は息をついた | |
138 | 息ができないよ、と夜闇がぼんやりと考えるころ、鳳は再び声に出した | 132 | 鳳は再び声に出した | |
138 | 鳳は、瞬時にこの相手がどれほど危険な相手であるかを察した | 132 | 同時にこの相手がどれほど危険な相手であるかを察した | |
139 | 声は笑った | 133 | と命じられて出てくるものではない。声は笑った | |
141 | 鳳は決心した | 136 | 鳳は心を決めた | |
143 | 結界の“輪郭” | 137 | 結界の輪郭 | |
145 | 夜闇は、記憶を残している | 139 | 夜闇は、記憶を残している |
其の四 月の影
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149 | こより | 143 | 紐 |
155 | 定め | 149 | 定め |
169 | 妖術の暗雲が消えたせいだろう。彼女を捕らえていた結界も消え失せてしまっていた | 161 | 妖術の暗雲が消えたせいだろう。 |
其の五 出口
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174 | “結界” | 166 | 結界 |
175 | 滅びたのだ | 167 | 滅びたのだ |
175 | まだ在った | 167 | まだ在った |
192 | (場面転換のための改行あり) | 182 | なし |
192 | どうせこの屋敷の周りには、迷い影の陣を敷いてある。この館を離れることはできん | 182 | どうせこの館を離れることはできん |
195 | 肝腎の | 185 | 肝腎の |
195 | 彼女は | 186 | 夜闇は |
196 | 歌声の罠 | 186 | 歌声の罠 |
197 | 彼女は把手を引いた。 | 187 | 夜闇は把手を引いた。が、開かない |
198 | 開かない扉など、屋根のない屋敷と同じような物だ。開かない扉を作るくらいなら、最初から壁にするが良い。まったく、奇妙な屋敷だった | 188 | 開かない戸など、夜闇は聞いたこともない |
198 | - | 188 | 戸というのは、手をかければスッと開くものだ。そうでないのは蔵か牢くらいだ。 |
201 | どうも夜闇が見たところ、この部屋は牢屋のように見えた | 190 | どうも夜闇が見たところ、この部屋は牢屋のようだった |
204 | 無邪気に聞く夜闇 | 193 | 繰り返す夜闇 |
204 | 完全に幼児でも相手にするような声色であった。まあ、無理のないことではある | 194 | 完全に幼児でも相手にするような声色であった。 |
211 | 崩壊するような小屋というわけでもない | 200 | 崩壊するわけでもない |
223 | 声は続いた | 212 | 声は続いた |
224 | 同じことを言っているのだと悟った | 213 | 同じことを言っているのだと悟った |
224 | 彼女の苦痛が去った | 213 | 苦痛が去った |
其の六 天者地者
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231 | お主が望むものは与えられない | 219 | 女神の命ではない。わしは、己の望みで夜闇に会い、共に旅した |
231 | どういう意味だ?与えられない、とな?誰がわしに与えるというのだ? | 219 | どういう意味だ?修羅の鬼斬りに意志でもあるような物言いだ |
231 | 「わしは、自ら手に入れるのみだ | 219 | - |
232 | 神は額の目をぎょろつかせ、 | 219 | 神は額の目をぎょろつかせ、そう答えた。 |
232 | そう続けた。鳳は、あっさりと返した | 220 | 嘲る神に、鳳は、あっさりと返した |
232 | 天者地者は微笑した。「良かろう」辺りは静まり返っている。結界の中だから当たり前だが、何処かに出口があったはずだ。天者地者が閉じてしまったのだろう。もし開ける気がないなら、面倒なことになる | 220 | 辺りを見回しても、なにもない。鳳が一度は解いた出口も、再び閉じてしまっていた。閉じたのは天者地者だ。答えの解けた結界を、力だけで敷き直してしまった。その剛力を見せつけて、告げる |
234 | それも、長くは続かぬのかも知れぬな。しかし、続けねばならぬーーー確かに、もう長くはないがな | 222 | だが、戦い切るほどの猶予ならば……あろうよ |
234 | 生まれたとて、育ちはしない。鬼界に耐えきれず、滅びるだけだ | 222 | 生まれたとて育ちはしない。鬼界に耐えきれず滅びるだけだ |
235 | 鬼の子が十二まで生きた?これが長くないというのか | 222 | 不満があろうか?死ぬはずだったものだ |
235 | 恐怖 | 223 | 恐怖 |
235 | 「あと一年の命なら、せめてその一年を生かしてやるのだ | 223 | 「何者にも触れさせぬ。そのためであれば、修羅の理も知ったことか。鬼斬りがあの子を守ってみせる」 |
236 | 修羅は恐れない。本物の修羅は、笑いすらしない。修羅は、怒るのみだ | 223 | だが言いながら反面、鳳の形相はまさに修羅の本分でもあった。修羅は恐れない。修羅は、怒るのみだ |
236 | わしには分かる | 223 | わしには分かる |
236 | 鳳が半眼で命じる。その形相は、まさしく修羅ーーー炎の鬼神だった | 224 | 鳳が半眼で命じる |
236 | 鳳に外に出てもらうわけにはいかない。でなければ、わざわざ自分の結界の中に放り込んでまで、鳳を真影の術から守ってやるような義理はない。鳳には……少し彼のために働いてもらう必要がある | 224 | 鳳を外に出すつもりはないようだった |
238 | 出ていかせるわけには、いかぬ | 224 | 貴様にはやってもらわねばならぬことがある |
239 | 破れるはずがないのだから | 225 | 破れるはずがないのだから |
239 | あるいは、必然なのか? | 225 | あるいは、必然なのか?世の理が崩れているというのか |
239 | 真影ごとき | 225 | 妖術使いごとき |
其の七 苦痛多き世界
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244 | - | 231 | 本当は、夜ではない。しばらくしてそう思い直した。 |
244 | 太陽がひたすらに照りつける | 231 | 太陽が照りつけるのを肌で感じている |
247 | 何も見えない。何で突然夜になっちゃったんだろうーーー | 233 | 何も見えなくなるーーー |
247 | バッタだ | 233 | 飛蝗だ |
251 | まるで、人が蠢くようだ | 237 | まるで、人だ |
254 | 自分もろとも | 239 | 自分もろとも |
254 | “黒いもの”のような獣魔 | 240 | 仲間であった悟海のような獣魔 |
255 | 焔(ほのお) | 240 | 焔(ほむら) |
258 | わしこそが | 244 | わしこそが |
260 | 不敗一千年を誇る | 245 | 不敗を誇る |
262 | 鬼までもが子を生す | 248 | 鬼までもが子を生す |
263 | 夜闇は生きた | 248 | 夜闇は生きた |
263 | 諭しの気配 | 248 | 諭しの気配 |
263 | 我々が人間を統治し | 248 | 我々が人間を統治し |
263 | 我らは、支配しなければ支配されてしまう | 249 | 我らは、支配しなければ支配されてしまう |
264 | 「何故、これを生かし続けてきたのだ?これは鬼だ。女神が命じたのは、まさか鬼の守護ではあるまいーーーうぬの使命は、この鬼の子の永遠の封印だったはずだ。ならば、殺すのが最も簡単だっただろうが!鬼斬りならば造作もないことであろうに、それをわざわざ、何故、生かし続けてきたのだ? | 249 | 無為と分かっていたはずだ。そして鬼の子は死に、まさに無為に終わった。それを正そうとは思わぬのか。甦らせようとは! |
265 | 最後の一言だけだった | 250 | 最後の一言だけだった |
265 | 見て欲しかったのだ | 250 | 無為ではない。夜闇は見たはずだ |
265 | 理解して……欲しかったのだ | 250 | 理解したはずだ |
265 | この世で最も面倒な定めを背負った鬼の子には | 250 | 面倒な定めを背負っていたからこそ |
266 | わしらは、わしらのように自分を為しているーーーつまり、己が宿命を受け入れ、従い、そして、殉ずる | 251 | わしらは、己が宿命を受け入れ、従い、そして、殉ずる |
267 | 覇者界があれば | 252 | 力があれば |
268 | 永遠に戦を続ける | 252 | 鬼をも屠り、鬼を消さんとする |
270 | 絶対に | 255 | 絶対に |
272 | 光覇呪 | 257 | 光呪 |
272 | まほろば | 257 | まぼろし |
終章 海の声
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281 | - | 264 | 世にただ一人であった鬼の子だが、これからはそうでなくなる、と鳳は分かっていた。世界が定めた理を、人の命は崩し、そして取り込んでいく。人がやがて、鬼をも受け入れれば、鬼はなくなるのだろう。 |
282 | - | 265 | 「わしは、鬼の子の守り人になるのさ」 |
282 | そして、多分この答えに | 265 | 多分、この答えに |
282 | (最後の二行に改行なし) | 265 | (あり) |
- 基本的には、強調のための傍点、引用符、連続する同じ語彙(鳳に対する「無表情」とか)などの修正でくどい部分を削ってるよう。それとーーー秋田作品ではおなじみのーーーダッシュの多用な。こうして見ると、完成されてるかのように思えた文章も結構改善の余地あったのね
- これみんな考えたと思うんですが、大仙魅ヌイってルリンカ世界のネーミングですよね
- 見て欲しかったのだ→無為ではない。夜闇は見たはずだ、と、理解して……欲しかったのだ→理解したはずだ は随分踏み込んだなと
- 真影=ヌイはフランス語で夜を意味するnuit、十六夜=リユヌは月を意味するluneから取ってるっぽい。女神がおみながみ=てるてる坊主であるからこれも対比なのかな。おみながみとみながみの使い分けの意味はよくわかんない
- 颱帝界→颱(台)風が過ぎた後は空が晴れ渡る=太陽が顔を出すから?
感想はAmazonのカスタマーレビューの方に書きました。
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