竜破斬(ドラグスレイブ)は本当にリナ・インバースの必殺技か?

スレイヤーズ 1 (ファンタジア文庫)

スレイヤーズ 1 (ファンタジア文庫)

主人公リナ・インバース、ひいては『スレイヤーズ』という作品の代名詞として知られている竜破斬(ドラグスレイブ)ではあるけど、実のところ原作中での扱いはそれほどよくない。


作中、第1巻『スレイヤーズ!』で最初にこの呪文を使ったのはその巻限りの使い捨てキャラだ。「あの」呪文詠唱がついている(作者が考えるのが面倒だったのか、本編では呪文詠唱は一部の呪文に限られている。ゲームではマイナーな呪文もちゃんと唱えてたりするらしい)という点では特別扱いされているけど、むしろお話としてはその後に使用される重破斬(ギガスレイブ)との差異が重要になっている。2巻『アトラスの魔道士』ではちらりと名前は出るものの、街中で障害物が多いため使用されない。3巻『サイラーグの妖魔』でようやくリナ自身が使う機会が回ってくるが、あっさりと防がれてしまう。4巻『聖王都動乱』では、「人間が使える内で最強といわれる術」である筈のこの呪文が、中級魔族には致命打にはならない、ということが判明する。その流れからか、5巻『白銀の魔獣』でリナは竜破斬(ドラグスレイブ)より強力で重破斬(ギガスレイブ)より使い勝手がいい神滅斬(ラグナブレード)を習得し、以降強敵相手には専らこれを使用していくことになる。


すぺしゃる第1巻『白魔術都市の王子』の折り返しには「あなたの心に竜破斬(ドラグスレイブ)」なんて煽りが打たれていて(以降の巻でも呪文の名前に引っ掛けた煽りが為されている)、作り手側は既にそういう認識をもっていたんだなーとは思うけど、この時点では飛び抜けて印象が高い、というほどではない。


やっぱり、あのアニメの第1話が決定的だったんだろうと思う。サブタイトルからして「Angry?リナ怒りのドラグスレイブ!」だし。「ドラゴンもまたいで通る」リナ・インバースが竜破斬(ドラグ・スレイブ)でドラゴンを倒すという1話としては理想的な分かり易過ぎる導入。林原めぐみの存在の偉大さ。