2008-09-10から1日間の記事一覧

宮本武蔵(3)/吉川英治/吉川英志歴史時代文庫

宍戸梅軒との邂逅、吉岡清十郎との決闘。武蔵が剣を重ねるその隣で又八が、お通が、城太郎が、お杉婆さんが、朱実が、清十郎が、伝七郎が、丹座が、そして小次郎が交錯する。なんだか群像劇っぽくなってきた。特に丹座に対する仕打ちが容赦ないなー。まあ人…

斜陽/太宰治/新潮文庫

恋、と書いたら、あと、書けなくなった。 「よくわからないけど、どうせ直治さんの師匠さんですもの。札つきの不良らしいわ」 「札つき?」 と、お母さんは、楽しそうな顔つきをなさって呟き、 「面白い言葉ね。札つきなら、かえって安全でいいじゃないの。…

金色夜叉/尾崎紅葉/新潮文庫

将来を誓い合った女を金持ちに取られたので畜生結局世の中は金かよ!と絶望した前途ある若者は金貸しになりました。……いちいち文章が大仰でついていけないところもあった。お宮が自殺する夢はなかなかに鬼気迫るものがあったけど。てか、主人公・貫一がなあ…

キマイラ・吼(15) キマイラ群狼変/夢枕獏/朝日ソノラマ文庫

まだまだ続くよ回想の回想の回想。馬垣勘九郎の話とか、まー面白いんだけど、このシリーズに必要なのか、とは思うな。あと、キマイラのあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜る〜〜〜〜〜〜〜〜っていう咆哮も、1巻で2回は多用しすぎだろ。こうなったら名場面もへったくれも…

浮雲/二葉亭四迷/新潮文庫

頑固な性格のため上司に媚びへつらうことを知らず、為に免職になったら叔母やその娘で半ば許婚同然の娘が掌をひっくり返したように態度を変えたでござる。まだこの頃は新鮮だったらしい言文一致体の文章はぎこちないところもありつつ面白く読めた。が、内容…

小説神髄/坪内逍遥/岩波文庫

教科書で近代文学の出発点とまで言われているのに、岩波文庫においてすら絶版の文学評論。文中で、文学にはその時代時代によって合った文体がある、というようなことが書かれてるんだから、この本もせめて現代らしい漢字と仮名遣いにして出版すれば需要はあ…

ご愁傷さま二ノ宮くん(3)/鈴木大輔/富士見ファンタジア文庫

これはあれだなーまほろさんが完全に機能を停止するまであと何日って状況で展開される軽薄なラブコメノリを許容できるかという話なのかもなー。富士見なら長編短編でそこんところ分ければよかったのに。思ったより早く長広舌のセリフに飽きてきたし、ちょっ…

絵本平家物語/安野光雅/講談社

ドレが挿絵を描いたダンテ『神曲』ほどのシンクロ率はなかった。

ツァラトゥストラはこう言った(上)(下)/ニーチェ 氷上英広:訳/岩波文庫

最初、タイトルが「かく語りき」の新潮文庫版の方を読もうとしたら辞書なしには読めないレベルの漢字が頻出するので、平易な訳を心がけたというこちらを。あんまりかっこよくないタイトルも、あるいはそこら辺の意図の表れなのか知らん、とも思ったり。……で…