あるNTR属性持ちが好む小説選 中間発表
あなたが寝取られだと思うものが寝取られです。ただし他人の同意を以下略。
実用性(?)より精神的にくるかどうかを重視している気がします。あとうおーレイプレイプレイプみたいのはあまり好きじゃないです。
性質上ネタバレ含みます。
サマセット・モーム 田中西二郎:訳『魔術師』
19世紀末-20世紀初頭イギリスに実在した神秘主義者アレイスター・クロウリーをモデルとした魔術師を描くオカルト小説。主人公の婚約者が嫌悪感を抱きながらも魔術師の謎の力によって堕ちていくくだりのイメージは圧巻。
安部公房『密会』
どこも悪くないのに救急車に運ばれていった妻を病院で探す内、奇妙な世界に紛れ込むことになる。致命的なことは何一つ見せられることがなく、誰もが主人公にそれをほのめかしていく、という展開が息苦しくて、だからこそその手の性癖もちの人にはたまらないんじゃないかと思う。同作者の『他人の顔』もよかった。他人の顔を模した精巧な仮面をつけて誘惑することで、妻の愛情を試すという話。
大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン』
グミ編・チョコレート編・パイン編の3部構成。ネクラな主人公はマイナーな映画好きとしてクラスメイトの美少女と仲良くなる。が、彼がオナニーにうつつをぬかしている間に彼女は映画女優としてデビューすることになり……。
藤田宜永『虜』
魔が差して汚職をしてしまい、全国に指名手配されてしまったため、妻の実家の持つ別荘へ身を隠す元銀行支店長。彼はそこで妻が知らない男と寝ているのを目撃してしまうが、立場の弱さ故に強く抗議することも出来ず……。
どちらかというと気弱で先のない自分では満足させられなかった妻が、男性的な魅力に溢れ社会的にも成功している寝取り男の腕の中でうっとりと悦んでいる。それを自分は見ていることしかできない。妻に、主人公に対する気持ちがほんの少し残っているのが切ない。
岩田洋季『護くんに女神の祝福を!(4)』
魔法みたいな力が普通に存在する世界で、ヒロインと寝取り男はどちらもその天才的な使い手。ライバルが積極的にアプローチしてきて、ヒロインは主人公のことが好きなんだけど、体の中の力が寝取り男を求めちゃう……みたいな展開。直接的な描写は全くないんだけど、すげーよかった。「奴との戯れ言はやめろー」って言ったシャアの心境ってこんな感じなのかなあ。同作者のデビュー作『灰色のアイリス』もどことなくそんなような、そうでないような。
市川拓司『VOICE』
高校生の主人公はヒロインの心の声が聞けるようになり、世間とうまく付き合えないでいた二人はやがて距離を縮めてゆく。ところが大学進学に当たって主人公は浪人、ヒロインは上京したために遠距離恋愛に。心の声が聞こえるという設定と遠距離恋愛という状況が必然的に生み出す展開がよかった。
大西科学『ジョン平とぼくと』
エヴリデイ・マジック物。状況的には1巻で終わってるけど、むしろ2、3巻の失恋した後に(まだ始まってもいねえよという話もあるけど)幼馴染とどう接していくか、ということがこのシリーズの肝だと思う。全4巻。
早狩武志『ハーフボイルド・ワンダーガール』
幼なじみが妊娠し、何故かまるで身に覚えのない「責任」を取らされそうになる主人公。彼は校内で有名なミステリー研究会会長と共に真の「責任」の所在を追及する。…………いやあ、家族っていいですね!大まかなあらすじは20年以上前にコバルトから出た鳴海丈『ほほにかかる涙』とそっくり。
次点:菊地秀行『インベーダー・サマー』、柴村仁『プシュケの涙』、武者小路実篤『友情』、重松清『なぎさの媚薬』、藤沢周平『蝉しぐれ』。
次々点もしくはNTRを書いてみてほしい作家:夢枕獏・秋口ぎぐる・米澤穂信・桑島由一・清水マリコ・中村九郎・小川一水・小林めぐみ・那須正幹・田中哲弥・ヤマグチノボル。
明治・大正期の小説ってNTR属性の人が喜びそうなものが多い気がする。それまでの日本における貞操観念とかが変化してった時代だからなんだろうか。姦通罪の制定と廃止の経緯とか考えてったらなんか面白いものができないかな。そんな知識もないんだけど。