コバルト文庫の累計発行部数トップは、『ジャパネスク』でも『炎の蜃気楼』でも『マリみて』でもなく、赤川次郎の『吸血鬼』シリーズだった
吸血鬼はお年ごろ (吸血鬼はお年ごろシリーズ) (コバルト文庫)
- 作者: 赤川次郎,長尾治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1981/12/10
- メディア: 文庫
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というのを『ライトノベルめった斬り』で知った時(つまり2004年12月時点の話。『ジャパネスク』が720万部と言うから、更に上を行っているのか?⇒)、かなり意外だった。一冊単位、或いは作者ごとの部数で言えばまた違った結果がでるのだろうけど。これは、自分が今までほとんどコバルト始め少女小説に触れてこなかったからこその感覚、なのだろうか。現在でも雑誌cobaltに連載され、継続中のシリーズだというのに、ほとんど目に入ってなかった。1981年に開始し、2007年に出た最新刊で25冊目。まあランキングを見ると最近は昔ほど売れてないみたいだけど。
吸血鬼は殺し屋修業中 (吸血鬼はお年ごろシリーズ) (コバルト文庫)
- 作者: 赤川次郎,長尾治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/06/28
- メディア: 文庫
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多分、自分が考えるライトノベルレーベルの看板作家/看板作品のイメージに合致しないから意外だったんだろう。そのレーベルでデビューして、ブレイクして、レーベルの行く末に少なからぬ影響を与えて……といった十分条件に合わないのね。どんなに売れても外様扱いというか。デビューはオール讀物推理小説新人賞だし、赤川次郎のシリーズ物というと『三毛猫ホームズ』の方が有名な気がするし(私が初めて読んだのもこれだった)、レーベルへの影響云々に関しても、コバルトの歴史について語ってるところで、この人こそが重要である、といった話はあんまり出てこない。久美沙織の創世記でも、コバルトにおける単行本デビューは同じ時期なのに、ほとんど触れられていなかった。或いは、自分の目の届いてないところでは語られているのかもしれないし、語られていないだけで多大な影響があるのかもしれないけど。
……ライトノベルの"軽さ"というものと絡めて、であればぽつぽつ見かけるんだけどね。実際、コバルト以外にもソノラマ文庫初期に何冊か(というかそもそも、処女長編はソノラマ文庫『死者の学園祭』らしい)、あとドラゴンマガジンの創刊号からしばらく連載している。ただまあ、あれだけ著作の多い人だと、どこかしらに引っかからない方が不思議なんだけど。
アンバランスな放課後 (赤川次郎ミステリーコレクション 10)
- 作者: 赤川次郎,早川司寿乃
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2003/03/12
- メディア: 単行本
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そうそう、ドラマガ連載の『アンバランスの放課後』って、最初ファンタジア文庫じゃなくてカドカワノベルスに収録されてるんですね。大体いつもの赤川次郎と言っていい(と言い切れるほどは数読んでないけど)内容だとは思うけど、落とし方にちょっと毒が含まれていた。そこら辺に問題があってファンタジア文庫に収録されなかった、とか?でも、その後もうちょっと対象年齢が下であろう岩崎書店の方に児童文学作品として収録されてるし……どうせ売れるであろう本ならちょっと単価の高いノベルスに収録しよう、ってだけだったのかしらん。他にもドラマガの初期ラインナップは、単行本化されてないものが結構多い。
ちなみに紙谷龍生センセの日記によると、今年の富士見書房新年会では神坂一とともに赤川次郎がスピーチしたらしいので、喧嘩別れしたとかいうことではなさそう。
部数的にはトップクラスだけどいまいち存在感がないというと、電撃文庫における『フォーチュン・クエスト』も似たようなものかもしんない。あっちは、古参のファン的には「スニーカー文庫のフォーチュン」というイメージが強いだろうから、事情は大分異なるけど。