エンジェル・ハウリング(7) 帝都崩壊1/秋田禎信/富士見ファンタジア文庫

エンジェル・ハウリング〈7〉帝都崩壊1―from the aspect of MIZU (富士見ファンタジア文庫)


負傷したジュディアの代わりにファニクを連れ、ミズーは姉を取り戻すために帝都へ向かう。連戦に次ぐ連戦。炎に包まれる帝都で、彼女が目撃したものとは。


5巻で初登場、この巻でめでたく名前がついたファニクがとにかくいい味出してる。手の届く範囲のことであれば目標は必ず達成するという点で言えば、まず間違いなく秋田世界における最強キャラ。退場したジュディアと同等か、それ以上にミズーの可愛さを引き出した手柄も見逃せない。ただ、ミズーが大きく変わるきっかけになったのは、万能キャラであるところのファニクではなく、あくまで初登場時ミズーにあっさりやられたジュディアだという、その辺りのバランス感覚はやっぱり好みだうひょー。


ミズーとフリウは、ようやく2度目の邂逅を果たす。共に望まない力を持ち、アマワという共通の敵がいて、家族に会うために帝都に来た二人は、そういった点に関しては共感を覚える。しかし、では共闘しよう、ということにはならない。二人の物語の交錯は一瞬のことで、すぐに別れ、それぞれの戦場に赴いていく。こういうのもザッピング形式で描きたかったことの一つなんだろうか。共に闘いはしないけど、あいつがこの空の下のどこかで闘っていると思えばこそ自分も闘える、とか、そういう人間関係。まあ秋田作品のキャラはみんな基本的にあんまりベタベタしないけど。『RD』のジャクソンとシムラなんかもそんな感じ。その逆がエドとロッテーシャに当たる、のかな。

  • この巻読んでて、なんとなくFF6を連想した。精霊とか帝国とか。
  • 腕を縛られた状態で、口に咥えた短剣を首を振って投じ、敵の足に刃が向いた時に額を打ち付けて足を貫くとか、デタラメアクション全開。
  • 「彼はわたしに、愛について語ったわ」ベスポルト×ミズーの年齢差カップルってのもアリだなあ。バレーの選手かよってくらい高身長っぽいミズーがベスポルトと並ぶと子どもにしか見えないのがモエモエ。椎名優ここに来ていい仕事するわー。エンハウのカップリング妄想に関しては、イラストに助けられてる部分がかなりある。