エンジェル・ハウリング(2) 戦慄の門 from the aspect of FURIU/秋田禎信/富士見ファンタジア文庫

エンジェル・ハウリング〈2〉戦慄の門―from the aspect of FURIU (富士見ファンタジア文庫)


フリウ編1巻目。生まれながらにその瞳に最強の精霊を封じた少女が、その力に振り回されながらなんとか生きる術を探る。


ミズー編が書き下ろしなのに比べこちらはドラゴンマガジン連載で、主人公の年齢も低く、スィリーが適度に茶化してくれるので、あちらよりは起伏に富んでいて読みやすい気がしなくもない。


シリーズとしてはここまでで世界設定は大体出揃って、以降特に広がりは見せない。この辺りも「オーフェン」とは対照的なところ。「オーフェン」は微に入り細をうがち設定を積み重ねて世界を構築していくことで、ファンタジーから幻想的なものを取っ払った作品だった。その辺りのことはこちらの感想に詳しい。「エンハウ」は逆で、設定厨的な拘りはなく、代わりに世界の描写を追求する方向のように思える。バラードの『結晶世界』(asin:4488629024)に影響されたと言われる硝化の森や、文字通り多彩な精霊や登場人物に俗っぽさはなく、いかにもファンタジーらしいファンタジーイラストレーターに椎名優が選ばれたというのもよく分かる(選んだのは編集さんだろうけど)。


……しかし、ドラマガで当時行われた人気投票によるとフリウは「妹にしたいキャラ」として人気があったらしいのだけど、よく分かんないなー。こっちに甘えたりしてくる姿とか想像できないし、保護欲を喚起するか、と言われると……。実はミズーよりよほど難しいキャラなんじゃないかって気がする。