あやうしズッコケ探険隊/那須正幹/ポプラ社ズッコケ文庫

あやうしズッコケ探険隊 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)


シリーズ4作目。ガス欠のボートに乗って遭難していたら無人島に漂着。そして、わたしたちのサヴァイヴァルが始まった……。


自分たちで家を作ったり、食料を採取したり、そういった男の子的な憧れが詰まった巻。百合根が食べられることをこの本で知った子どもが当時たくさんいたことでしょう。勿論それだけでも、自分的にはシリーズの中で『株式会社』と肩を並べるくらい面白かったのだけど、今回気付いたのは無人である筈の島に住み着いている彦田老人のこと。身よりもなく、人里離れたところに暮らしている謎の老人……というとこの手の話としてはお決まりのパターンですが、彼の場合時々本土から役所の人間が生活物資を持って訪ねてきているんですよね。那須先生らしいリアリティの取り方。そして、劇中においてとうとうこの島での生活がままならなくなった老人は、本土の老人ホームへ入れられてしまいます。老人は決してそのことを肯定も否定もしませんが、役所の人間が来てからの態度の豹変から、3人組は何かを感じ取るのでした。