ルート225/志村貴子 原作:藤野千夜

ルート225 (シリウスKC)


放浪息子』の二鳥さんちを髣髴とさせる気の強い姉と気の弱い弟が、ある日、現実そっくりの、ただし両親が消えてしまったり死んだ筈の同級生が生きてたりと、少しずれた別の世界(?)に紛れ込んでしまう。二人は無事に元の世界に戻れるのか……?


志村貴子が文庫の表紙イラストを担当している同名小説(asin:4101164312/未読)のコミカライズ。面白い面白くない以前の問題として、キャラメイク(?)や台詞回しはそう変わらないのに、お話の密度が『放浪息子』『青い花』等と違ってて、ちょっと疲れる。その2作品は、初読時はさらっと流し読みで済まして、2回、3回と再読するごとに味が出てくる―という感じなんだけど、今回は初読がやたら手こずった。キャラクターがあんまり好き勝手に動き回らないで、常に本筋に忠実で脇道に逸れないとでも言うのかなー。終始気を抜く暇がない。細かいエピソード淡々としたの積み重ねで、一見話が進んでるんだか進んでないんだか分からない、あの奇妙な味がなかった。まあオリジナルの志村作品でも、自分の場合『敷居の住人』とかは駄目だったりするので、いつもの志村作品と違う!というよりは、自分の好きな志村作品と違う!というだけなのかもしんない。