海がきこえる(1)(2)/氷室冴子/徳間文庫
1はアニメージュに連載。2は映画化された後に書き下ろし。東京と地方。高校と大学。振り回す女と振り回される男。半分東京が舞台になってることもあって、ちょっとトレンディードラマっぽい(2巻はまさにドラマ化したらしい……)けど、流石氷室冴子。特に付け足すことがないくらいに面白かった。知り合いが倒れて病院に運ばれた時、傍にいたのに何もしなかった、できなかったとヒロイン・里伽子を罵倒するおばさんに対して、主人公・拓が声を張り上げるシーンが好き。罵倒したおばさんが間違ったことを言ってるわけじゃないのは分かってて、それでもなお、自分の立場から彼女のためになんか言わなきゃいけなかったんだよなあ。
そういえばこの作品、ここの人のベスト10に入ってたけど、それってヒロインのキャラクター込みでの話なんだろうかなーと失礼なことを考えたりもしました。いや、なんだか好きそうな気がしたので。勘違いだったらスイマセン。
アニメ版
- 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
- 発売日: 2003/08/08
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スタジオジブリの。監督は望月智充。キャラデザ・作監は原作イラストを担当した近藤勝也。主人公・杜崎拓は飛田展男。武藤里伽子役、坂本洋子。
もうちょっと尺が欲しかったような気はしなくもないけど、あとがきで「全体の構成を考えて枝葉を整えるよりは、書きたいシーンを優先させた(大意)」というようなことを言っていた原作に比べて、時系列やらなんやらはこっちのほうが整理されていた、かな?里伽子との再会のシーンをあそこに持ってきたのは印象的だった。BGMがちょっと主張しすぎてるような気はしたけど、まあそれくらい。同じ望月智充監督の「絶対少年」も評判が良いらしいので、機会があれば……。しかし、里伽子は間違ってもツンデレではねーよな。どっちかっつうとCV荒木香恵の小浜裕実のが好き。同窓会での垢抜けてるんだけどやっぱりどこか素朴な感じの残ってる彼女が可愛かった。高知城を眺めながら拓の脳裏をよぎる里伽子の想い出、に碌なものがないのにちょっと笑った。
ちょうどこの前放送されていた『耳をすませば』と何かと比較されることの多い作品でもあるようで。