桃尻娘/橋本治/講談社文庫

桃尻娘 (講談社文庫 は 5-1)


ライトノベルめった斬り!」でタイトルを知った。最初、映画の『鮫肌男と桃尻女』とダブっていた。女子高生の口語体一人称。新井素子よりは、川崎ぶら「雨の日はいつもレイン」を思い出したなあ。どうにもおっさんくさい猥雑さが。実際の女子高生像に合ってるかどうかは知らない。本人も「今の高校生が何を考えているかは知りませんが」と言ってることだし、やっぱり大人がそういうこと考えるのはナンセンスだよなあ。文学の偉い人は、そういうこと言っちゃまずいんだろうけど。どっちかというと、漫画家を目指してる登場人物が、少年愛がどうしたこうした言ってて、クラスの同級生男子でカップリング妄想してる辺りが重要なんじゃねえかな、と。作者の人も漫画評論やってたり、本文中でも大島弓子やら山岸涼子やらといった名前が出てきてたし、そういう意味ではまあライトノベル史に関係してくる、と言えなくもない、のか?あ、なんかかどちんはこの作品に大分影響を受けてるとか(ドラゴンマガジン2003年8月号「センセイの宝箱」より)。曰く、

章ごとに主人公が切り替わって、前章の主人公を次の主人公が観察したりするスタイルで書かれた小説なんですが、はいこれ、私のデビュー作まんまですね。こちらパクリすれすれであります。『桃尻娘』に登場する人物全員に影響を受けていると思います。ま、「文句を言うことにかけては天才的な連中」ばかりを描いたこの小説を読んで、私はひねくれてしまいました


同コラムより

ブギーポップ・シリーズ全体を通じて、不在のご意見番として(もっといい言い方が出来ないのか、オレ)登場する霧間誠一、「パブリック・エネミー・ナンバー1」という恐ろしくカッコイイ呼び名を持つ彼が、橋本治をモデルにしてるのは明らかだと思う。……多分。想像では。
小説は全然売れなくて、エッセイが一部で熱狂的に受け入れられるって、橋本治のことだよね。

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だそうで。最初読んだ時は全然ピンとこなかったんだけど、言われてみればなんだかちらほらと。籐花が浪人やってるのもこの作品のせいだったりして(笑)そうそう、あとがきで作中のキャラが対談してた。むしろこれが個人的には一番重要か。