白い少女たち/氷室冴子/集英社コバルト文庫

白い少女たち (集英社文庫―コバルトシリーズ 52A)


表紙写真の金髪少女の、ピンクのニーソとワンピースが生み出す絶対領域にどきりとさせられる。なんでこう無駄に妖しい雰囲気が漂ってるんだ。少女趣味な表紙は男が買うのが恥ずかしい、という話は良く聞くけど、この作品の場合逆にアレゲな男性向けみたいな気がして恥ずかしいよ。内容には合ってるかもしれないけど……


『さようならアルルカン』で第10回小説ジュニア青春小説新人賞佳作を受賞した氷室冴子の、処女単行本。ひどく生真面目で、陰気、と言っちゃうと言い過ぎだけど全体的に鬱々としたイメージが漂っている。なんか石田敦子とかあの辺。と言っても、『ジャパネスク』の方も必ずしも明るいばかりだったわけじゃないというか、むしろストーリーの中心にあるのは華麗な平安貴族の裏に隠された悲劇とかで、それを瑠璃姫を始めとしたキャラクターの強さで押し切ってる感じだったので、あんまりギャップに驚くという感じはしなかった。ただ、倫理観とかが古臭いのは、ちょっと気になったかなあ。古臭いも何も30年昔の小説なんだから、実際に古いんだけど、『ジャパネスク』ではあんまりそれを感じなかったのは……やっぱり平安時代が舞台だったからなのかな。いや、女子中学生の倫理観なんて今も昔も知らんけど。


あ、そういえばあとがきがない。コバルトもまだこの頃はあとがき必須じゃなかったのか。ソノラマも作品によってあったりなかったりだし、とすると最初からあとがき必須なレーベルって、スニーカーかファンタジア、ということになるのかしらん。