オタクとして生きていくにあたって
アニメや、漫画、ライトノベルなどにのめりこんでいると、製作側との距離を近く感じる、という経験がある。それは多くの場合錯覚ではあるのだろうけれど、パロディなどを多用するなら、製作者が意図してこちらの共犯意識をくすぐることもあるだろう。そういった感情は、容易く「自分も製作者の側に回れるかもしれない」という思いに変わる。
現在では既にそのような情熱は消え失せたけれど、そういった業界/ジャンル/メディア―――呼び方は何でもいいが―――に対する愛着、というか執着は以前とあまり変わらない。そんな元ワナビの自分が怖かったのは、知り合いが自分のそれなりに愛着を持っている業界でデビューすること。全くの見知らぬ人間がいくらデビューしても、それは別世界の出来事と言える。しかし、知り合いがデビューすることによって、いくら愛着があろうが自分はただの消費者に過ぎないと思い知らされた時、猜疑心と嫉妬の塊のような自分がどういう反応を見せるのか。知るのが怖かった。
が、実際にそういった事態(といっても付き合いとかなくて、こちらが一方的に知っているだけだけの相手だけども)に遭遇してみて、沸き起こってきたのが嫉妬よりもめでたいなあという気持ちであることに、少し安心した。自分にも、尊敬できる人が成功すべく成功して、素直に喜べるくらいの道徳は残ってたんだな。