『蟲師』のキャスティングとアニメ声の声優

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放映時に見逃してた回と、BSフジで放映された21〜26話を補完。正直、本放送時の個人的な評価はそれほど高くなかったんですが、物寂しい季節の夜に一人で見てると、また格別だわこれ。


さて、作品の総体としての魅力は、既に散々語り尽くされてるだろうし、自分自身は語る言葉を持ちえないので置いといて。私が特筆すべきだと思ったのは、声優について。このアニメについては、ギンコ役の人始め、普段アニメであまり観ない人を採用していて、それがうまくいった、という評価ですよね。いわゆるアニメ声が苦手な人にも受けているようです。私も、このアニメの音関係がよかった、ということに関しては異論はないのですが、では、だからといって、彼らの言うアニメ声の声優の人たちが『蟲師』に合うような演技ができないのか?という疑問もあって。


wikipediaのゲストキャストの項を見ると、アニメによく出演している有名どころは、三瓶由布子小山剛志佐藤利奈千葉千恵巳今井由香清水香里土井美加沢城みゆき岩男潤子岡村明美天野由梨名塚佳織青野武福井裕佳梨小林愛京田尚子齋藤彩夏川上とも子、下崎紘史、鈴木真仁坂本真綾小清水亜美沢城みゆき……といったところでしょうか。


三瓶由布子名塚佳織齋藤彩夏名塚佳織といった大地丙太郎監督作でお馴染みの面子が多いのは、音響監督のたなかかずやという人が『赤ずきんチャチャ』『おじゃる丸』『すごいよ!!マサルさん』等に参加してるので、その繋がりかな、と思います。あとは、ネルケ関係からとか。


んで、これらの人が普段アニメ声で演技してないかというと、それは違う。確かに、劇団系の人は多いのかもしれませんが、『魔法先生ネギま』の左藤利奈、『機動戦士ガンダムSEED』の坂本真綾、『スクールランブル』(関係ないけどこれも音響たかなかずやだ)の小清水亜美。『トップをねらえ!2』の福井裕佳梨。みんな、いかにもアニメっぽい声に囲まれても違和感なく演技しています。じゃあ、いわゆるアニメ声の演技って、単に現場やファンの要求に応えたものであって、別にああいう演技しかできないというわけではないんじゃないか?と*1


だから、えーと、『蟲師』の成功は、元々そういう演技ができる人たちを集めた、というのもあるんだろうけど、どっちかっつうと、アフレコに11時間かかったという、現場での音響の人や声優の人のお努めの賜物じゃないかなあ、と。あと、人気声優はそもそも一つのアフレコに時間を割けないらしいので、そこもネックになるのだとか(http://www.bugyousyo.com/guestbook/200604301735.htm 2月22日分参照)。もしここに、それこそ一線級の、いかにもなアニメ声のアイドル声優を放り込んだら(というのは無意味な仮定ですけど)、結構うまくこなしてくれないかなあ、というのは希望的観測でしょうか。

*1:ここら辺、論理的な欠陥が……