ライトノベルのパロディ同人誌が少ないという話

が、半年以上前に局所的に盛り上がってて、その時は特に言及しなかったけど、『コミックマーケット30’sファイル』を読んで気がついたことなどを少し。


コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005

コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005


過去、ジャンルコード登録(1986年から開始)されたことのある小説ジャンルは、『栗本FC』『魔王伝(後に『菊地秀行』)』『銀英伝(一時期それ以外の田中芳樹作品として『その他田中芳樹』というジャンルがあった。後にジャンル『田中芳樹』として統合)』『炎の蜃気楼』。コミックマーケットカタログ背表紙に載ったことがあるのは、『炎の蜃気楼』『十二国記』『学生アリス・作家アリス』『京極堂』。それと、ファイルの年表でブームとして触れられているものには、『銀英伝』『魔王伝』『炎の蜃気楼』『ミステリー小説』『マリア様がみてる』などがありました。


勿論、これらはブーム(どれだけの数があれば活況なのか、ってのはそのジャンルにもよるでしょうが、まあ一つの島を丸々占領してれば、十二分に多い、と言えるんじゃないかな)を巻き起こしたものだけに限られているため、資料としては不十分です。ここに載っていないもので、近年では、『ロードオブザリング』『ハリー・ポッター』などが記憶に新しいところでしょうか。


これらを見て思ったのは、小説だからイメージを喚起しない、ビジュアル化しにくい、だから同人人気がない、というのは必ずしも当てはまらないんじゃないかな、ということです。アニメ化/漫画化されたことによってイメージが喚起されたんだ、という意見もあるかもしれません。『指輪物語』などは明らかに映画化の影響でしょうが、どちらかというとアニメ化以前に同人人気に火がついた作品の方が多そうです。


私がここで問題にしたいのは、男性向け(エロに限らず)で人気がありそうな作品が少ない、ということです。『マリみて』は、そういう意味でもエポックメイキングだったのかも。元々、同人業界において書き手の7割が女性(一般参加者割合だと、半々くらいにはなる)だそうなので、自然、そうなるのかもしれませんが……。ちなみに、ジャンル『小説(FC)』のサークル代表者男女比は1:9となってます。が、これについてはジャンル『男性向け創作』なんかで小説のエロパロを出してる人も多そうなので、なんとも言えず。


何故、小説ジャンルにおいて男性向けが少ないのか、ってのはよく分かりません。同人誌の描き手とライトノベルの読み手が被らない(同人誌の描き手は25〜29歳が最も多い)、というのはよく聞くけど、必ずしもラノベに限らずとも、一般文芸でもいいわけで。……そもそも、活字に触れる機会が女性に比べて少ないのかなあ。あるいは、女性に比べて活字から妄想することが少ない、とか?テキスト:グラフィックの比率で言えば、ライトノベルと男性向けで人気があるジャンル:エロゲーってあんまり変わらないような気がするけど……常に立ち絵が表示されてる、というのが大きいんだろうか?


あとは、いわゆる『ライトノベル』といって想起される富士見、電撃、スニーカーが見当たらないなあ、と思ったけど、これは男性向け同人が少ない、という問題とは直で繋がらない気がする。……あー、『スレイヤーズ』の最盛期に同人ってどれくらいあったのかなあ。結構あったような気もするけど、思い出せないっつーか、そもそも当時即売会に行ったこともなかったので、分からん。


あと、女性向けに多くて男性向けに少ないっつーと、ナマモノ同人とかもそんな感じするけど、こっちは完全に部外者なのでどうにも。ハロプロ系とかは結構ありそうだけど。