コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005

コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005


夏ごろには既に入手していたのですが、情報密度が高いので、牛歩で読み進めてきて、つい先日ようやく読了。


基本的に資料集みたいなものなので、これ単体での感想、というのは特にないのだけど、印象深いのは、数十回分の代表挨拶かなあ。コミケも時代の変化を受けて変わっていくけれど、作品とファンの交流のために存在すること、準備会はそのための「場」を維持するためだけに邁進してきたこと、作品の発信者も受信者も外部からの視線を常に意識し、等しく社会的なモラルに従って行動しなければならないこと。これらは、昔から何ら変わっていないように感じました。


あとは、コミケに来る一般参加者は「客」ではない、ということが明文化されたのが第14回からだとか、同人文化において男女が混じり始めたのは『セーラームーン』以降だとか(うたたねひろゆきとかその辺らしい)、企業ブースで販売物を購入するのは割合で言えば圧倒的に男性の方が多いだとか、色々ありましたが、まあここら辺はおいおい。


あー、あと、ちょっと不快だったのが、1988年の毎日新聞の特集記事が掲載されてるんですが。

親に内証、学校にばれては困る。翌日の会場で、仮装姿の男の子が「以前、テレビに映り学校に通報された。マスコミは敵だ」と怒ってきた。
マンガへの親や学校の目がまだ冷たいことを、かたくなな子供たちの姿勢が語る。


なんか、微妙に責任転嫁っつーか。世間の目が冷たいのはそりゃそうなんだろうけど、新しい文化が浸透するまで時間がかかるのは当然だし、この男の子が責めてるのは、無理解な世間じゃなくて無節操なマスコミだよなあ、とか。たとえ世間が好意的になって、後ろ暗いところがないとしても、自分の趣味を他人に知られたくない人だっているだろうに。