パプリカin池袋テアトルダイヤ


マッドハウス×筒井康隆×今敏。この人の監督作品は一応全部追っかけているんですが、劇場で観るのは初めてでした。原作は未読。


いつも通り面白かった。相変わらずのアベレージヒッターっぷり。私みたいな理解が遅い観客にも親切な、分かりやすい作品作りを心がけているように思える今敏にしては、今回説明台詞がいつもより多くて、序盤は少々置いていかれるところがあったけど、ここらへんは原作があるから、かな?映像は、今まで、一目見ただけだと「アニメじゃなくて実写でもいいじゃない」と言われるような作品と比べれば結構派手で、私の中にある古くさい「大作アニメ映画」というイメージに近かったです。


ここからエヴァオタの戯言。この作品では、めぐ姐こと林原めぐみが久々の主演だったわけですが、そのせいか、知らない人にはなんでもない筈のシーンがいちいちエヴァをパロってるように見えて仕方ありませんでした。彼女の演技が綾波を彷彿とさせるとか、そういったことは全くありません。「○○は○○のパクリ」とかでもなくて。ただ、今敏作品のテーマっぽい「虚構と現実の境目」みたいなアレが林原めぐみの口から語られると、どうしても……。緊急事態に仕事しないオタク科学者を「一生夢の中でオナニーしてろ」と罵倒したり、「気持ち悪い」と言わせてみたり、ヒロインの下腹部に男の腕がぐにょりと入っていったり、はては天を突くほどに巨大化したり。つーか、エヴァ、というよりまあ、エヴァが象徴する(してきた)オタク文化っつうか。今敏がオタク嫌いという偏見が、既に私の中であるからかもしれない。実際オタクが嫌いかどうかっつうのは分からない(というか、そういうの「だけ」になるのが嫌らしい)けれども、なかなか辛口の人だし、『パーフェクトブルー』や『妄想代理人』ではそういう類の諷刺もやってたし。「メカと美少女は他の人が山ほどやってるので俺はやらない」といった趣旨の発言もしてたし。そういう人がああいう描写をやって受け取る側が私みたいなのだったりすると、さもありなん、と思ってしまうというか。まさにエヴァにとりつかれた人の悲劇。……ヒロインに罵倒されるオタクの役で、終盤ではロボットになっていた古谷徹も同じか。声優に関して言うなら、『パーフェクトブルー』から今まで、メジャー……というのもちょっと違うけど、林原めぐみ/古谷徹/山寺宏一/大塚明夫と、ここまでコテコテで固めるのって初めてだったので、そこらへんも勘繰っちゃう一因だったかも。でも、劇エヴァだと「現実に還れ」ってやったのを、最終的にオタクの人とヒロインは結ばれ、「現実も虚構も両方大事」で終わるところは監督の優しさなんだろか。原作があるので、ここまで全部今敏でなく、大昔に筒井康隆が考えたことなのかも知れんけど。


今敏庵野秀明の対談が読みたいと思いました。エヴァリバイバルとかより、そっちの方が見たい。この二人、庵野監督の方が三つ年上だけど、宮崎・富野-押井・大友-庵野・今みたいなラインで考えると、ほぼ同年代なんだよな。ここに挙げてる人たちだけが日本を代表するアニメーション監督だとか言うつもりは毛頭ないけど。


そういえば、坂本真綾の曲で『パプリカ』ってのがあったなあ。