愛と青春のサンバイマン/藤井青銅/トクマノベルズミオ


主人公はアニメ制作会社のプロデューサー。玩具会社社長の気まぐれで、とんでもないテレビシリーズの企画に首を突っ込んでしまう。スポンサーの理不尽な要求、マニアによるセル画盗難、暴力的な作品を嫌うPTAの抗議、声優のコネ採用。数々の難問を時にかわし、時に番組の路線そのものを変更することでなんとかやり抜いていく。


最初タイトルを聞いて「サイバイマン?人造生命である戦闘生物の悲哀を描いた話?」と思ってしまったのはここだけの秘密。麻雀牌が合体してロボットに!組み合わせは多種多様で玩具会社もウハウハ!というアイディアが普通に面白そうに思えてしまったのは、作品的にどうなんだろうw

サンバイマンのギャグは、SFアドベンチャー掲載時→新書版→文庫版と、流行ものを取り入れて微妙に進化しています。
ぼくをこの世界に入れてくれた故・星新一さんは世相風俗を扱わないことで作品の寿命を延ばしました。
ヘソ曲がりなぼくは師とは逆に、この作品にはわりと世相風俗を意識して入れてみました。
というのは、古い作品は世相風俗こそが面白い、という見方もあるからです。

http://www.asahi-net.or.jp/~mv5s-fji/htmls/book.htm


という作者の言葉通り、業界人ならではの当時のアニメ制作事情がなかなか面白かった。


この作品が出版されたトクマノベルスミオは徳間書店がトクマノベルス本体より若い読者層を狙って創刊された、とのことだけれど、どうも短命に終わったらしい。刊行リストを見る限り、タイトル的に「肉感春売人ニュース活人事件」が気になる……