神明解ろーどぐらす(1)〜(5)/比嘉智康/MF文庫J

神明解ろーどぐらす (MF文庫J)

神明解ろーどぐらす (MF文庫J)

神明解ろーどぐらす5 (MF文庫J)

神明解ろーどぐらす5 (MF文庫J)

  • 主人公の池田十勝は、小中学生時代学校から家までがあまりに近かったため、友達と道草しながら「下校」することもできず、寂しい想いをしていた。わざわざ遠くの高校を選んで進学した十勝は、ひょんなことから出会った三人の女子と今度こそ下校を満喫することを決心する。
  • ギャルゴ!!!!!』の人の2作目。全5巻完結。地の文の視点が主人公の一人称という点は同じだけど、前作のあの畳み掛けるような語りは消えて、掛け合いが多めになっていた。しかし主人公、ひいては主人公を描写する作者のIKEMENっぷりが迸る文章は相変わらず。しかもそれが嫌味にならない。ヒロインと二人で歩いてたら因縁つけてきたチンピラを生ゴミかぶって撃退とか、普通の高校生が実現しうる範囲で最大限のIKEMEN、っていうのがいいよね。『ネルリ』の石川博品先生と並んで、抱かれたいIKEMENラノベ作家の双頭だよなあ。
  • 序盤は食べ物屋に寄ってみたり、じゃんけんで荷物持ちを決めてみたり、のんびり下校を楽しむ話が続く。それそれはそれで色々趣向を凝らしていて楽しかったのだけど、後半に行くにつれ坂道を転げ落ちるようにサスペンス色が強くなっていった。これは作者の決めパターンなのかしら。最後の敵がそれかよ!と思ったけど下校の最大の敵は○○だ!と言われちゃ納得するしかない……のか?『ギャルゴ』に比べると、最終的にどこに着地するか分からないハラハラは薄れて、筋道がまっすぐなストーリーになっていた。
  • テンプレ色が強かった『ギャルゴ!!!!!』に比べて一人称が「うち」とか「あーし」だったり、他にも色々ヒロインの造形が攻めてきてる気がしたなー。ちょっと現実にいそうな奇人変人っぽい、ような。一人だけピンの表紙がなかったさきっぽは怒ってもいいと思うよあーし。
  • あとがきの、作者のおかーさんが誤字脱字の正誤表と漢字変換統一表を作ってくれたってエピソードに感動した。次回作のタイトルは『うちのおかんが担当編集!』で。