ホック氏の異郷の冒険/加納一朗/双葉文庫


週刊文春1983年傑作ミステリーベスト10国内部門第5位、第37回日本推理作家協会賞受賞作。モリアーティー教授との死闘の後、イギリスでは死んだと思われていたホームズ(作中ではサミュエル・ホックという偽名を使っている)が明治日本にやってきて難事件を解決する。当時の日本人の文化、生活様式といったことが事細かに書き込まれていて、それらにホームズが反応し、分析したりする辺りが面白かった。主人公は最初、ホームズの傲慢さに反発を覚えていたのが、理解を深めていくにつれ徐々にこの奇妙な外国人と友誼を結んでいくんだけど、この後の国際情勢を考えると少々苦いものを覚えてしまったり。ハウダニット、フーダニットの謎解きよりは歴史物として楽しんだかな。ぐぐってみたら推協賞の選評でも絶賛の嵐だった。さもありなん。