ギャルゴ!!!!!(1)〜(6)/比嘉智康/MF文庫J
- 作者: 比嘉智康,河原恵
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アララギさん、上条さんなど近年ハーレム系作品の主人公が読者にさん付けで呼ばれるということがある。おおむね、自称一般人で、特別な能力など何も持ってないのに過剰に英雄性が高い、そんな主人公をネタ混じりに指す言葉だと認識している。数年前に流行ったクラウザーさんからの流れもあるのかな。このシリーズのギャルゴさんもそういった系譜に連なる主人公であり、中でも群を抜いて好感度が高かった。
基本的にはご近所退魔もの。主人公の中学生・春男はおばあちゃんの遺志を受け継いで、「地方都市伝説」が引き起こした事件を解決していく。獲物は物干し竿。相棒は下ネタ大好きなグラマー人形のエリアス。既に完結済みで、「地方都市伝説大全」「地域限定焼餅大全」「地上最強G級大全」「地獄天国直通大全」「地伝英雄逃亡大全」「地上波初登場大全」の全6巻。1巻は第3回MF文庫Jライトノベル新人賞最優秀賞受賞作。
とにかく主人公である春男がかっこいい。普段はギャルゲーゴッド略してギャルゴと呼ばれるほどのギャルゲーの達人しかしてその正体は人知れず街を守るヒーロー。やたら精神年齢が高く、時々アンタほんとに中学生か!?と突っ込みたくなるけど、地の文の語りがキザ過ぎる辺りとか、大人に変身する魔法少女みたいに、そういう子どもの理想みたいなものを身をもって演じてるんだなーと思うと納得できる。そりゃ、読者だけでなく―――というかこっちが先だったんだろうけど―――作中の、我々読者を体現したかのようなクラスメイトたちからもさん付け、様付けで呼ばれるわ。ハーレム物とは言え、基本はメインヒロインである天然少女・コトリ一筋。他ヒロインに比べちょい魅力薄いけど、そういう娘に惚れてるほうがかえって主人公としての好感度上がることってあるよなあ。逆にハーレム主人公の特殊スキル鈍感力を発揮しまくりの春男に全く相手にされてないツンデレ少女のライムもフラレナオンとして可愛くて、これはこれでおいしい。
また、子ども向けヒーロー物でたまに「テレビの前の君たち」に呼びかけるように、ギャルゴさんによる一人称での地の文で、しばしば読者である我々に語りかけてくるのが興味深かった。前述した作中のキャラによるさん付け、様付けと合わせ、この二点によって英雄ならぬ身の自分はある程度視点人物であるあるギャルゴさんから適切な距離を取って、女の子にモテたい&英雄願望という昔からの男の子の欲求を存分に満たすことができた気がする。