ブギーポップ・アンノウン 壊れかけのムーンライト/上遠野浩平/電撃文庫

  • 中学生の男子グループと女子グループが交錯する時、物語は始まる。かどちんの描く男女交際って、最初から男女混合のグループができあがってるものが多いので、今回は「ちょっとやめなよ男子ー」「うるせーぞ女子!」的な、なんというかお互いに男子コミュ女子コミュに属しててその立場からのやりとりというか、そんなものが見れたのは嬉しかった。男子グループだけになるとクラスで好きな子の話で盛り上がったりとかそういう。
  • 表紙にいるだけあって藤花が当事者としてわりと出張ってた。友達の目から見た人物像とか結構新鮮だった。でもこれって一部の人が言う「本編」――勿論、それはシリーズ全体を繋ぐ縦糸で、多くの人が期待しているものであるとしても、必ずしも話に必要ではない―――が、今までどれだけ進んでなかったかってことでもあるよね。彼らの言う本編を進めようと思ったら、ブギーさんの宿主である藤花について語らないわけにはいかないんだし。
  • その一方で当事者として藤花が事態に直面してる時にブギーさんが出てきて、藤花の友人と喋りだしたりするので、ブギーさんと藤花の境界が曖昧になったりした。今回出てきてないけど、竹田くんに対してはブギーポップとして接してるのに対し、藤花の友人たちに対しては、あくまで藤花のいち人格として接してるようにも見えたんだよなあ……。ブギーさんやプーム・プームみたいな存在が他にいるかも気になる。
  • 「まるでブギーポップみたいな顔してるわよね」「そういう君は、プーム・プームみたいだよ」の辺りの対峙はやたらかっこよかった。
  • プームプームと呼ばれる存在は出てきたけど、アニメとそんな繋がりがあるわけではない……かな?風船を持ってる帽子かぶった少年とか、光る蝶とかイメージ的なアイディアだけ逆輸入した感じなのかしら。アニメの内容ちゃんと把握してないのでにんともかんとも。しかし「崩壊のビート」といいかどちん案外こういうお遊び好きなのね。
  • 「この世にカレーが嫌いな人間なんているわけがない」とか「呼ばれて飛び出て―――でも、代理だけどね」とか「ダンスしようぜ!」とかネタ分も豊富だった。
  • こと、ブギーに関してはいつも今の僕のセンス勝負。 雰囲気変えているのではなく何も考えずに今好きな絵を描いてます。 今回はどのイラストも睫毛を強調してるなあ、とは思った。一つ目の扉絵を表紙のほうに持ってこなかったのは勝負に出たなあ、とも。