食前絶後!!/ろくごまるに/富士見ファンタジア文庫

食前絶後!! (富士見ファンタジア文庫)

食前絶後!! (富士見ファンタジア文庫)


再読。前回の感想はこちら。キャラクターにしろ設定にしろ今見ると「奇天烈なものを書いてやろう」っていう意識が強く出すぎてるように感じられ、奇書というなら『桐咲キセキ』のわけわからなさのほうを推したいなーと思った(確かなものがなにも見えない違和感に支配されている作品。と書いてた人がいたけど、まさにそんな感じ)。面白さには変わりないけど。でもその奇想や破格への意識、主人公たちの自意識過剰なところ(「数学部」の奇人変人アピールとかちょっとこそばゆい)こそがなんというか2000年代っぽくもあり。『食前絶後!!』と『封仙娘娘追宝録』割ってエロゲーっぽい雰囲気足したら『悪魔のミカタ』とかに近い感じになるんじゃなイカ。そういえば米澤穂信「野性時代」の00冊企画でこの作品を挙げていたなあ。あとスニーカー大賞受賞した「子ひつじ」(asin:404474825X)の人も影響を受けたようなことを言ってたし、ミステリーな人に親和性高いのかしらん。


あと、ここで「二人を救うためには、たとえそれが親友であっても一人を殺すことを躊躇わない」人(泣き言は全て終わってから)を描いたからこそ、「封仙」では情の弱い刀なんてのが出てきたんだろうな。そこら辺は、自分の大切にしたい情を活かすためには他の情を全部殺すみたいのが多い印象を受ける2000年代の作品とは対極か。その辺の「情」と「目的達成」の対立がキセキではどう扱われてくのか気になる。


参考:Togetter - 「90年代に戦闘=ゲームをつきつめたライトノベル「封仙娘娘追宝録」」