マリア様がみてる in シネマート新宿


トレーラーを見たときに抱いた期待を、おおむね裏切らない出来だった。ちょこちょこ細かい改変はあるけど、筋はおおむね原作第一巻通り。それでも退屈しなかったのは、タヌキのタヌキっぷりが半端なかったから。百面相とまではいかなくとも表情がとても豊か。ある意味、植田佳奈が演じたアニメ版よりアニメキャラっぽい。周囲がわりと落ち着いた演技をしてることもあり、一人だけ大仰過ぎると感じる人もいるだろうけど、まあ、とにかく観てて楽しくはあった。つーかタヌキ役の未来穂香って人、1997年生まれて。原作が開始した年に生まれたのか……。


他のキャストは、聖様役の滝沢カレン令ちゃん役の坂田梨香子はなかなかいい感じに漢前で、結構イメージ通り。島津役の三宅ひとみは、「シンデレラ」の魔女として髭生やしてビビデバビデブー!とやってるところとか可愛かった。蓉子様役の平田薫は、最初はちょっと高校生にしてはお年を召されすぎじゃないでしょうか(いや原作もそういうところあるんだけど)、と思いはしたものの、祥子様が男嫌いになった原因(これ原作だと聖様の役割なのね)をタヌキに話すところ始め、物語が佳境に入っていくにつれあの「総司令」としての存在感が出てきていた。


映画独自(多分)の演出としては、祥子さまから演劇の台本を受け取って、ダンスのステップを踏みながら教室に帰っていくところなんか、くすっとさせられた。原作のほうの1巻の肝である連弾はそれほど色っぽくなかったのが残念だけど、代わりにダンスシーンに気合入れてた感じ。逆に引っかかったのは、まず台詞をもうちょっと日常会話っぽくできなかったのかな、というのがひとつ。それから銀杏王子がやってきて祥子さまが姿を消す辺りが、やや分かりづらかったかも。最後に上映前にわざわざ伊藤美紀植田佳奈を起用したFLASHアニメのマナーCMを、EDはCoo Rieを流した点。前者だけならそれが商業的な観点によるものにしろ「おーなかなか挑戦的だなー」と思ったんだけど、後者は自分の中でアニソン歌手としての印象が強すぎるからか、実写映画本編の余韻が……。アニメみたいに、インスト曲ってわけにはいかなかったのかな。