あにゃまる探偵 キルミンずぅ #40「泉へ走れ! ネズミのキルミンブルース!?」


中盤は市長の息子で勉強は出来るが冴えないタイプのタマオが話を引っ張っていた。


キルミンという線で繋がっている仲間だから、ただ一人キルミンがうまく出来ないタマオは当然焦りだす。今週のびっくりどっきりメカ的なものを作ったりして、実際のところ彼がいなきゃ成り立たないくらい探偵団に貢献しているんだけど、やはりみんなができることを自分だけ出来ないというのは辛いらしい。なにやら色々と聞きかじりの知識で特訓しだす。しだすんだけど、どうにも空回る。空回った結果、オウムに好きな女の子=リムさんの名前をつけてちゅっちゅし合ったり、リムに告白するのに自分が鳥にキルミンできるからという理由で鳥のプロポーズを模倣したり、ますます奇行が目立ちだす。その様子は、おおむねコメディタッチに描写されているんだけれど、笑うに笑えない。正確には最初は何も考えず笑えていたのが、段々と辛くなってくる。せめてケンたちが何かのリアクションをしてくれればいいのに、何故かスルー一点張り。自分の名前をオウムにつけていると知ったリムですら無反応。耳すま時かけとは逆ベクトルでこっちが死にたくなる。クラスに一人はいた「ハカセ君」系男子の恋愛に関する勘違いから生まれる奇行の滑稽さを容赦なく抉り出していく。


……問題は、一見自分と同じ冴えないタイプに見えるタマオは、自分には及びもつかないくらい金持ちで、知識も技術力もあって、性格的にもいい奴で、失敗しても努力を惜しまないすごい男の子だということだ。だから自分は、顔で笑っても心では決してタマオを笑えない。逆に言えばそれは心でどういう風に思っていようと表面上は笑ってしまえるということで、その辺り(このアニメも自分という人間もすごい残酷に出来てるな、とも思う。でも、一部の人の努力って(成功に繋がるかどうかは別として)おおむね様にならないもんだよね、というところを容赦なく、しかし愛情たっぷりに描ききってるこのアニメは、だからこそ傑作と言えるかもしれない。



また、暫くしてタマオのほうは少し落ち着くんだけど、その途端、タマオとは正反対に単純バカで内面なんてほとんど見せてこなかったケンの、仲間たちに対するコンプレックスが浮上してくる辺りの手際は鮮やかだった。多分ケンにとってはあれが初めての挫折だったんだろうな。だから、凹んでも一向に立ち止まろうとしないタマオと違ってあっさり仲間たちの前から姿を消そうとする。そこをこれ幸いとカノンちゃんが丹下桜のあの甘ったるいボイスで誘惑してくるんだけど、根がいい子だから弱みにつけこみ切れず失敗。多分もうケンについてはリコとの仲が磐石過ぎて無理だろうから、最終回までに別の何らかの形で報われてるといいなあ、カノンちゃん。