プロジェクトA子/越沼初美+団龍彦/角川文庫

プロジェクトA子 (角川文庫―スニーカー文庫)


80年代なかばに人気を博した劇場アニメ/OVAシリーズのノベライズ。1巻目が越沼初美、2巻目が団龍彦執筆。『アニメノベライズの世界』でその存在を知った。


原作のアニメは美少女アクション物で、主人公である女子高生3人の三角関係が見所のひとつ。なんだけど、原作では微笑ましいものくらいのものだった百合っぷりが、越沼初美のノベライズではごく当然のような顔をしてベッドシーンが挿入されていたり、「レズビアン」という言葉の強さにも負けないくらい直接的な描写をされていて驚く。そういった点からなんとなく、この作品から20年後に同じくスニーカー文庫(この当時はまだスニーカー文庫はなかったけど)で発表されたヤマグチノボルの「ストライクウィッチーズ スオムスいらん子中隊」シリーズを連想した(……そういや、作品自体もさることながら、アニメの監督である西島克彦高村和宏も、なんとなく立ち位置似てるかもね。そうでもないか?)。まあ「A子」の方は元々の企画があの「くりいむレモン」の一つだったという話だし、「いらんこ中隊」の方は世界が同じで主人公が違う最初から全く別の話だしで安易に結びつけるのもアレかなあという気はするけれど。あともう一つ相違点を挙げるとすれば、「A子」のほうは「由麻くん」シリーズが著者だけあって、ちょっと関係性が生々しい感じ。それがあのあっけらかんとした世界と混ざり合って、なんとも珍妙な味を出していたと思う。なんか、やっぱりこの頃のスニーカーってノリがおかしいよ。


ちなみにどちらの作品も作者を変えたアニメ準拠のノベライズが別に刊行されている。「A子」の方はさらに講談社からもまた別のノベライズが出てるんだけど、この辺りの事情はよく分かりません。