カレイドスコープのむこうがわ(1)(2)/三木遊泳/電撃文庫

カレイドスコープのむこうがわ (電撃文庫)カレイドスコープのむこうがわ〈2〉 (電撃文庫)


第6回電撃hp短編小説賞銀賞受賞作からスタートした連作短編集。全2巻。除霊物なんだけど、派手なアクションシーンなどはなく、終始淡々とした雰囲気で、電撃的には「しにがみのバラッド。」とか「Astral」とかあの辺に連なる作品っぽい。


キモはヒロインの井上さん。主人公に果敢にアタックするが、生まれ持った能力や優等生である井上さんへの引け目から、主人公は友達以上の関係を互いに望んでいるということから無意識に目を逸らせ続けてしまう。休日はデートなんかしたりする仲であるものの、主人公の「アルバイト」ですっぽかされることもしばしば。報われないキャラという点ではななせ@文学少女とか好きな人は好きな気がする。ライバルらしいライバルがいないのであそこまでアレではないけど、


ラスト、今まで井上さんとの関係に目を逸らし続けてきた主人公が代償を支払い、二人の関係はゼロまで戻ってしまう。でも、それまで育んできた周囲の人たちとの関係は決して消えず、それが二人を再び繋げる、という落とし方はよかったな。