セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史/前島賢/ソフトバンク新書

セカイ系とは何か (ソフトバンク新書)

  • セカイ系という言葉が生まれ、定義を少しずつ変えて流通していった経緯について、知らないことも多く、とても勉強になった。
  • 感想としては、@motidukisigeruさんが自分の言いたいことをうまく言語化してくれてる気がした。オタク第一世代の受容態度の話とか、旧エヴァを前半後半で分割して語ることに意味を感じない、とか。togetterの実況読書まとめは第2章でストップしちゃってるんだけど、これ自分がまとめてもいいのかな。 http://togetter.com/id/motidukisigeru
  • 自分の周囲でエヴァの人気のピークってTVシリーズ終了時からシト新生にかけてで、EOEで一気に冷めた人がほとんどだったんで、「こうした終盤における失敗、破綻にもかかわらず、『エヴァ』の人気は衰えることはなかった」というのは実感とは違うかな。マスコミでもよく「いまだ衰えぬ人気」とか聞くけど、関連グッズに生暖かい眼差しを向けるしかなかったこの十数年はなんだったんだ、と思わなくもない。そりゃ貞本エヴァとかは売れてたけどさあ。
    • まーその頃はオタクの知り合いもそれほど多くなく、ネットにも繋いでなかったんで、知らないところで盛り上がってたんだろうけど。あと、EOEでアスカの惨状を見てシンちゃんがぶちぎれて量産機撃破ゼーレとパパの陰謀は阻止された!完!とかなっていたら今の「地位」はなかったのも事実ではある。
  • 自分は「静止した闇の中で」の落とし方にうぇ〜って思った人なんだけど、あれは「正体不明の敵に対してなんでこの子らはとってつけたような小賢しい理屈をつけようとしてんの?」って感情が元だったのかもしれない。アスカが「そんなの分かるわけないじゃ〜ん」と〆たところで印象はあまり変わらなかった。
  • シスター・プリンセスRePureのBパートはセカイ系」ってのは提唱者であるぷるにえさんの発言らしいけど、これはよく分からない。
  • 00年代初頭において主人公の自意識を描いた作品として印象深いのは涼宮遥の憂鬱もとい君のぞだけど、アレに関して言えばセカイ云々の議論とは無縁だったなあ。無縁だったはず。
  • そろそろ田中ユタカ『愛人』を読む時か。
  • 意外なところで『クレイジーカンガルーの夏』の名前を見ることができたのは単純に嬉しかったw
  • セカイ系」ほど混乱してないけど「空気系」も十分人によって向けられる対象が違う作品だと思う。
  • 生徒会の一存』が「ひたすらおしゃべりに興じるだけ」の作品なら自分は1巻で読むのをやめたりしなかっただろうと思う。
  • STGである東方の二次創作が受けたのは、カプコンSNKなどの格ゲー、コナミ音ゲーなどからの流れである、という説は既にどこかで検証されてるだろうか。
  • 終盤にエヴァと同時期のあの作品を持ってくる辺りの構成がニクらしい。惚れた。
  • 主人公の過剰な自分語り、オタクの自己反省したいという欲望、転じて引き裂かれる恋人たち。つまりセカイ系とはおおむねNTRと近しい。いやNTRセカイ系と近しいのか?……ごめん適当言った。
    • イリヤはレイプ(未遂?)されるしサイカノでもテツ先輩と致しそうに。きみとぼくの壊れた世界では黒猫が売春。……長森を寝取らせる側に回った浩平の特殊さが際立つなあ。