試験に出る竜退治/日昌晶/PHP研究所スマッシュ文庫

試験に出る竜〈ドラゴン〉退治 (スマッシュ文庫)


スマッシュ文庫創刊ラインナップの一つは、第11回ファンタジア大賞吉村夜と共に準入選を果たし、ファンタジア文庫で2作、初期の富士ミスで1作出して以来音沙汰がなかった日昌晶の新作。ドラゴンスレイヤーに憧れて高校の竜退治科に入学した主人公。しかしいまやドラゴンは絶滅危惧種と化しているため、竜退治科も閑古鳥が鳴き、主人公の他は女子生徒が3人在籍するのみとなっていた。


多分基本的な流れは弱小野球部の復興を描く部活物みたいな感じなんだろうけど、主人公に「注釈眼」という、見たものの名前が分かる能力があって、武器だとか鎧だとか馬だとか、妙なところで延々と薀蓄を披露してくる。この辺は、雑学系の本をたくさん出してるPHP研究所ならではのディティールの凝り具合、なのかしら。「モーニング星。」とか「ドラゴネットかたか」とか反応に困る小ネタが満載だったりもして、あらすじと著者名から想起されるものをよくも悪くも裏切らない内容ではあった(但しグロとかはなし。基本的に軽い)。このご時勢にファンタジー物のパロディをわりとストレートにやってる辺りは、この人ってザ・ファンタジア大賞出身者って感じはするなー。


ページ数が少ないのは、この本に限って言えばあまり気にならなかったかな。イラストは確かに多かったけど、2、3時間あるAVと同じで、多ければいいってもんじゃないよねーなんて思ってしまった。