小学星のプリンセス☆(1)〜(3)/餅月望/集英社スーパーダッシュ文庫

小学星のプリンセス (小学星のプリンセスシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)


大抵のライトノベルでは、新キャラが登場すると、「三行容姿チェック」が地の文(一人称三人称問わず)で展開される。年の頃は、髪の色は、身長は、胸の大きさは。視覚的なものが重要視される小説群だからそれは別にいいんだけど、そこに並ぶ単語って大体決まってて、商品カタログを見ているようで特に面白みはなかった。ライトノベルの場合特にイラストがあるから、必要性を感じられないこともあった。が、その点、このシリーズは気合が入っていた。

振り返り、僕を見上げているルリスは、その、小さな姿は……。
五年前のまま、小学六年生当時の小さくて幼い彼女のままだった。
黒目がちな円らな瞳は理科の実験で顕微鏡を見てはしゃいでいたときのまま「これが光学顕微鏡なんだぁ!」なんて無邪気に笑ってた時のままだった。長く美しいまつげはぴんと立ち、凛と直ぐな眉はカミソリを当てたことも書き足したこともなさそうな自然な美しさを主張していた。
すっと通った鼻筋は夏休みに育てた朝顔が初めて咲いたとき、嬉しそうに匂いを嗅いで喜んでいたときと同じ。小さくて形がよくて、思わずつまんで悪戯したくなるぐらいに可愛らしかった。
ふっくら小さな唇は昼休み、ストローをくわえてシャボン玉を作ってたときそのままだったし、さらりと流れる黒髪からは昔と全然変わらない、石鹸の清潔な香りが漂ってきそうだった。
ほんわり、口に含んだら甘い味を残して溶けてしまいそうな、マシュマロみたいな頬は、机につっぷして気持ちよさそうに居眠りしていたとき、ついつい、つついてしまったときと全然変わってないし、牛乳を飲んでるとき、調子に乗ってくすぐってしまった脇腹も小学校時代と全く同じ、幼い健康的な細さを誇っていた。
あのときは牛乳を噴いてしまった彼女に涙目で追いかけ回され、大変だったっけ。
ほっそりとした太ももや膝だって一緒になって校庭を走り回って、泥だらけになったときと変わらず、幼い弾力に満ち溢れていた。しょざいなげに握ったり開いたりしている小さな手、その繊細な指も「私、お箸使えるんだよ!」と得意げに胸を張っていたときのままだし。
抱き締めた体も、こうして見れば、十七歳という年齢にしては小さすぎた。小さくて信じられないほどに軽い……。昔と全く変わらないほどに。


特に技巧が優れているとか壮麗な語句が並んでいるとかいうわけではない。ただ、ヒロインの魅力を語り尽くしたい、という作者あるいは主人公の熱気は十二分に伝わってくる。ロリコン?気持ち悪い?知るかバカ!キャラの「言動」でなく魅力的な「容姿」で売りたいってんならこれくらいのものが読みたいんだよ!


そんな気合の入ったロリコン小説がこのシリーズ。幼馴染のあの娘は、大人になっても外見は地球人で言う小学校高学年くらいまでしか成長しない小学星のお姫様だった!


いちゃいちゃエロエロしている小説が無性に読みたい時期に選んだ作品の中の一冊なんだけど、これが当たりだった。さすが「円環少女」の長谷敏司に師事しているだけのことはある。ヒロインのルリスが台詞と台詞の間にいちいち「んっ」「んっ」と鼻息?を挟んでくるところとか、いい感じ。イラストの方も魅力的で、3巻113ページとかとてもロックだった。でも、基本的には自分たちと異なる外見の異種族とどう接するか、が主軸でわりとシリアス。全3巻完結。そもそも大前提が出オチみたいな設定だからしょうがないのかもしれないけど、もう少し主人公とルリスのイチャイチャを見ていたかったな。