魔術士オーフェンはぐれ旅 我が運命導け魔剣/秋田禎信/富士見ファンタジア文庫

我が運命(さだめ)導け魔剣 (富士見ファンタジア文庫―魔術士オーフェンはぐれ旅)

「ふむ。つまり君はこういうわけだな?君がその新聞紙を百回折り畳んだなら、世界は崩壊すると。よし、看護夫を呼ぶから二歩ほど退がってくれないか?」
「いえ、ドクター・フューリー!本当なんです!数学者として申し上げます。確かにこれは世界が壊れる唯一の方法ではないかもしれません。ですが、そのひとつであることは確実なのです!」


無謀編の「魔王オーフェン」然り、嘘から出た真、というかギャグだと思ってたことが伏線(?)になってくるってのは意識してるのやらしてないのやら。


ここから最終巻までは基本的に続き物。ナッシュウォータでアザリーを探す方法を考えながら日々を過ごしていたオーフェン一行。散歩に出たクリーオウは面倒ごとに首をつっこみ、珍しく……というかほぼ初めて?リアルに身の危険を覚える。暗殺者だの殺人人形だのディープドラゴンだのを相手にしても動じなかったのに、街のチンピラにあそこまで追い詰められるってのは実に秋田作品らしいけど、それだけ危ういところで勝ちを得てきたってことなんだろうなあ。


エドとロッテーシャの関係は今までにないくらい湿っぽい。道場で対峙するシーンはまさに愁嘆場といった感じ。でも秋田の筆致自体はひどく乾いていた。

  • ボルカンが人の名前を覚えないってのは言われるまで気づかなかった。ドーチンも声に出して誰かの名前を呼んだことはないか?あと他作品だけどスィリーもそうだったな。
  • 「そうじゃなくて―――なんて言ったらいいのかわからないですけど、このまま行きたいんですよ、きっと」って台詞が逆説的に別れを暗示してる気はする。
  • 「……なにか用かい?お嬢ちゃん」は衝撃の登場シーン。