ヴァルプルギスの後悔 Fire2./上遠野浩平/電撃文庫

ヴァルプルギスの後悔〈Fire2.〉 (電撃文庫)


スーパー上遠野大戦本格化。1巻がイマイチだったのであまり期待してなかったんだけど、俄然盛り上がってきた!無敵の霧間様が追い詰められるだけでこうもワクワクするとは。かどちんの能力バトルを面白がるのは「エンブリオ」で諦めてたんだけど、自分の目は節穴だったのか。考えてみれば「夜明けのブギーポップ」の終盤とかもドキドキしながら読んでたっけな。


また、この巻は凪の話である以上に織機綺の話でもあった。「VSイマジネーターPart.2」を読んだ10年前当時、彼女がこんなことになるなんて誰が予想しただろうか。「ロスト・メビウス」にもその兆候はあったものの、彼女の物語は、意地悪な故スプーキーE(この言葉の響きには吹いた)にこき使われていたところを王子様に救われて終わり、といったようなものではなかった。自分を救ってくれた大切な人たちを想えばこそ暴走する彼女の姿に、かどちんどSだなあと思い、それ以上に心が震える。いたるところでクロスオーバーが起こるかどちんの作品世界は、主演の作品が一つ終わったからってその人の人生がそこで終わりじゃない、内面の変化はそこで打ち止めじゃない、という当たり前のことを再認識させてくれる。緒方剛志のイラストは、織機の腰のくびれは芸術だということを再認識させてくれる。


ラストではついに「ビートのディシプリン」最終巻のあの序章と繋がり、魔女戦争はいよいよ佳境へ。が、ここからまた1年待つのは辛いな。専ら単行本派だったけど、これからは電撃文庫magazineの購読始めようかな。その前に手をつけてない「ソウルドロップ」「酸素」辺りから崩すか……。