ほほにかかる涙/鳴海丈/集英社コバルト文庫

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憎からず思っている女の子から、まるで身に覚えのないお腹の中の子どもの「責任」を取ってくれ、と言われて、主人公が真の父親を探すことに。つまるところ、20年以上前に書かれた『ハーフボイルド・ワンダーガール』と言えなくもない。


違うのは、『ハーフボイルド〜』があくまで個対個の関係の中で話が展開されていたのに比べ、こちらは学校、受験、ひいては教育システムそのものが話に大きく関わってくる、というところ。冒頭生徒指導の教師に呼ばれた主人公が「あやまち」を認めるまでボコボコに殴られるくだりは、今読んでみると「いくらなんでもそこまで……」と思っちゃうけど、当時はある程度のリアリティをもって受け入れられていたのかもしれない。あと切なさやるせなさも薄めで、何が正しいのか何が間違ってるのかが割とはっきりしてた。