神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎/あざの耕平/GA文庫

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎 (GA文庫)


自他共に認める新進気鋭の若手音楽家にして神曲楽士ダン・サリエルは、コンサートの夜に虎の姿をした上級精霊コジと出会う。コジをいたく気に入ったサリエルは既に契約している精霊モモをさしおいて契約しようとするが、コジには決めた相手がいて……。


アンソロジー短編集(asin:4797342994)で好評を博した短編をシリーズ化。小説ポリフォニカシリーズはこれが初めて(アニメと漫画は通過済み)だけど、面白かった。キャラクターがみんな生き生きしてていいなー。或いは『BBB』より好きかもしれない。『ブートレガース 神仙酒コンチェルト』でこの人に惚れ込んだ身としては、もっとこういうコメディ色の強いのをやってほしいところ。『BBB』の短編はどうにもぎこちなさが拭えなかったんだよなー。


コメディ要素を抜いても、サリエルが単に唯我独尊傍若無人の傲慢キャラでなく、誰にでも楽しめる音楽を標榜する自分の主義と、分からない人間にしか分からない、尊敬する巨匠の主義との間での葛藤を描いていて、共感できた。