飛ぶ男 the flying man/安部公房/新潮社

飛ぶ男


死後、ワープロから見つかった安部公房の未完成作。未整理のメモなども収録。深夜、アパートの一室にいる主人公に電話がかかってくる。受話器を取ると、自分の腹違いの弟でスプーン曲げを職業にしている超能力者なのだという。話の様子から、どうも主人公はどこからか覗かれているらしい。窓の外を見てみると、1人の男が月を背に飛んでいた……。


まだ推敲中だったためか、文章は他の作品に比べ多少読みやすく、話の筋も分かりやすかった。これは、先の展開を読んでみたかったなあ……。既に故人となった人の原稿が本人の了解を得ないままこういう形で発表されることは、いまだに抵抗があったりするんだけど……