本陣殺人事件/横溝正史/角川文庫

本陣殺人事件 (角川文庫)


金田一耕介最初の事件「本陣殺人事件」に加え「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭察人事権」を収録した短編集。


「本陣殺人事件」は密室トリックに重きを置いており、超常的な怪奇色やラブは薄め。容疑者の一人が探偵小説マニアで金田一とトリックについて語り合う辺り、この時点で既に探偵小説文化って確立されてたんだなーと思う。金田一アメリカで麻薬中毒者になってた、という過去は驚き。「車井戸はなぜ軋る」は、妹が兄へ宛てた手紙という形態をとった書簡体が萌ゆる。「黒猫亭殺人事件」は初っ端にこの話はこういうトリックの類型を使ってるよーと言っちゃってるのが面白かった。