円地文子の源氏物語(1)(2)(3)/円地文子/集英社文庫

源氏物語  1 円地文子の (わたしの古典シリーズ) (集英社文庫)円地文子の源氏物語〈巻二〉 (集英社文庫―わたしの古典)円地文子の源氏物語〈3〉 (集英社文庫―わたしの古典)


登場人物に感情移入できなくて終始イライライライライラ。古典を読むことがこれほど困難なだと思ったことはなかった。3巻の中沢けいの解説によると、ひとりの女とひとりの男が結びつくのが理想とされる現代の道徳になじむことで源氏はプレイボーイであるといった物言いが歓迎されるようになった。感情の生活が野蛮になり、情念への興味を失い、さっさと割り切ることができることを美徳とする現代人にとってはこの物語は読めない、ということになるらしい。まー当時と現代では価値観が大きく変わったってのはそりゃそうだろうけど、それをもって感情の生活が野蛮になったとか言われるとむくむくと反発心が。教養として読む分にはある程度そこら辺割り切るんだけど……つーか、当時でも雅に細やかな感情をもって日々を過ごせたごくごく一部の人、と現代人一般を一緒くたにするってのはどうよ、と思わなくもない。こういうのって古典を読む訓練をしないと駄目なのかしら。そう考えると1巻の解説書いてる氷室冴子はうまいことやったよなあ。