びっくり箱殺人事件/横溝正史/角川文庫

びっくり箱殺人事件 (角川文庫 緑 304-17)

「ダメよ、いくら弁解しても聞きません。アァいやらしい。モギャー、キャッ。アレ一体なんのざまよっ!」
「だからさ、ボクさっきからさんざんあやまってるじゃないか。いい加減に機嫌なおしてよ。恭子さんに怒られると、ボク立つ瀬がない」
「なら横になっていらっしゃい」
「そんな意地の悪いこというもんじゃないよ。彼女があんまり怖がるもんだからつい面白半分に…」
「だからだらしがないっていうのよ。あんた一体お幾つ?」
「としのことならさっきもいったよ」
「何べんでも聞くわよ。あんまり大人気ないじゃない。大部屋の女優さんと 鬼ごっこしたり、モギャー、キャッで、みどりちゃんに抱きつかれて喜んだり。一体あんなオモチャ持って喜んでる歳だと思って?」


表題作の長編と、金田一耕介を主人公とする短編を収録。表題作はラ板でツンデレが出てくるというのを聞いて読んだ。劇団で起こった殺人事件を題材としたドタバタコメディ、に一見見える。探偵小説の大家、というイメージからは程遠い珍妙なノリだった。モギャーッ。