刺青・秘密/谷崎潤一郎/新潮文庫

刺青・秘密 (新潮文庫)


「刺青」「少年」「幇間」「秘密」「異端者の悲しみ」「二人の稚児」「母を恋うる記」の7編を収録した初期短編集。


フェチズム全開、文章も凝っているものが多く、やや読みにくかった。学友の家に遊びに行ったばかりに彼の姉と共にSM遊びに耽溺するようになってしまった「少年」、女装癖など秘密を持っていればこそそこに愛が生まれるという「秘密」、職場(?)の飲み屋で笑いものにされることに悦びを感じる「幇間」、自尊心ばかりが高い駄目人間を描いた「異端者の悲しみ」、山奥に爺さんと3人っきりで暮らしている双子の男子が見たことのない「女性」という存在について色々考えずにはいられない「二人の稚児」などが印象に残っている。特に「異端者の悲しみ」は何か嫌な思い出でもあるのかってくらい主人公を痛めつけていて、しかもその主人公の性格がなんだか他人とは思えないもんだから、かなりきつかった。