片手間ヒロイズム/小林めぐみ/一迅社文庫

片手間ヒロイズム (一迅社文庫 こ 1-1)


「地球を救う為、インドで仲間を探してきます」おとぼけ大学教授に恋する女子高生が、その失踪した奥さんの代わりに赤ん坊の子守りを引き受ける。が、何故かその周囲で頻発する不思議な出来事に巻き込まれ……?スナック感覚で楽しめるSF短編コメディ。


新婚生活をいかした『食卓にビールを』がそこそこに受けたので、じゃあ今度は子育て経験をいかした話でも書いてみますかっ!という動機で始められた物語……では、多分あんまりない、筈。


暁の五戦士ことシャクたん⇒錫杖かなえ⇒錫木千絵⇒、ということで世界設定としては一応『ビール』と繋がってる、のか?キャラ借りただけかな。ERFコーポレーション物(『ねこのめ』『いかづちの剣』『ヤクシー』。『宇宙生命図鑑』ってどうだったっけ)と違って共通するガジェットとかがあるわけでもなさそうなので、せいぜいが「このキャラはあのキャラなのかな」という想像を楽しむくらいでしょうか。しかし、イラストの人が交代したからしょうがないんだけど、シャクたん幼くなったなあ。ここでも理系の男が幼な妻を!ギギギ。


ノリは、想像していた通り基本的には『ビール』と似たようなもんだけど、一応本筋らしきものがあって、真面目なところは真面目に〆てる。その分、「ここに食いつけ」っていうフックは多少分かり易い。「恋をしている女の子の話」にしよう!というのが目標で(あとがき談)、状況的にはそれこそ『魔女を忘れてる』くらいベトついてもよさそうなもんだけど、あくまで後味はすっきり爽やか。つまり、こういう抑制のきいてるところがこばめぐが信頼できる所以、なんだろうな。


ちなみに、『ビール』は既に全巻重版未定らしい。富士ミスがああだからしょうがないか。にしても、まだ完結から1年しか経ってないのになあ。メディアミックスでもされればまた話は違ってくるんだろうけど、今さらこの人にそういう流れが来るとも思えないしなあ。