私の男/桜庭一樹/文藝春秋
―――おめでとう!! キミの本当の家族はココにいたんです!!
- もうそろそろいいだろう、ということで感想。
- 冒頭の言葉は言わずと知れたこれからの引用で、『私の男』とは何の関係もないのだけど、普段からこういうのに慣れ親しんでると、今回みたいな作品が世に出た場合インセストタブーを描いた作品に苦手意識を持つ人って結構いるんだな―と思ったりする。
- 勿論『シスプリ』でも血縁派と非血縁派がいるように、実際に血の繋がりを求める人と求めない人がいるし、血の繋がりがあっても肉体関係はアリかナシか、みたいな対立もある。オタク界隈でもここまで濃く、生々しく―――そこら辺が『私の男』っていうすごい直截的なタイトルからぷんぷん漂っていて、しばらく近寄り難かった―――ものを描けばそれはセンセーショナルなものにはなるだろうけど、でもやっぱりそういうことを描いた作品、に対しての抵抗は薄いよなー。多分。
- 詳しくはここの人の感想参照。あと、フランス書院編集部の人の言及。一番下。
- 勿論『シスプリ』でも血縁派と非血縁派がいるように、実際に血の繋がりを求める人と求めない人がいるし、血の繋がりがあっても肉体関係はアリかナシか、みたいな対立もある。オタク界隈でもここまで濃く、生々しく―――そこら辺が『私の男』っていうすごい直截的なタイトルからぷんぷん漂っていて、しばらく近寄り難かった―――ものを描けばそれはセンセーショナルなものにはなるだろうけど、でもやっぱりそういうことを描いた作品、に対しての抵抗は薄いよなー。多分。
- 『あさっての方向』(感想)は山奥の田舎を舞台にした、一夏の物語。この作品は海辺の田舎を舞台にした、全体的に極寒の真冬のイメージが強い物語。どっちも男役は駄目人間寄りだけど何故か女性にはモテる。両親をなくした女の子をそれまで全く関係がなかった親戚である若者が引き取り、アパートの一室で育てていく。前者は義兄で後者は義父だけどそこら辺はあんまし。おお、この曲すらこわい。
- 遊びがほとんどなく、ただ一組の男女の関係を描くことに費やした一作。ただ情愛にのみ焦点を当てた作品。
- でも、お爺ちゃんが流氷に乗って流されていっちゃうところは迫力があって、後半の見せ場の一つではあるものの、現実感に欠けていて(それはこの作品通して言えることだけど)、どこか間抜けでもある。悲劇と喜劇は一枚のコインの裏表に過ぎない、みたいな話?桜庭作品はそういうのが多い。『少女には向かない職業』の凶器とか、あと『青年のための読書クラブ』は全体的にそんな印象を受けた。
- 描写が格段に増えてるのに読みやすさは変わらない。こういうのを文章がうまいって言うのかしら。
- 背後に別の男の影がある女性を好きになるんだけど、その二人の関係は最早他人には踏み込むことのできない領域で……というのを好む性癖、というのはある。『甘い蜜の部屋』(⇒感想)を読んだのは、桜庭一樹の108冊に入っていたからというのも勿論あるけれど、それが理由の一つでもあったりした。
- 養父の人は多分ロリコンではない。制服を着ているヒロインを見て、娘がいまだ高校生だということを思い出してしまい「そそられねえなあ」と言い放つ彼はロリコンではない。
- 二人が如何にして別れるに至った経緯とかは、物足りないっちゃ物足りないけど、あれ以上書く必要ない気もした。
- なんか、桜庭一樹の作品を読む度、こういう風にオタク文化とかライトノベルとかの話に繋げてしまうのは、我ながら未練がましくて嫌だ。単に自分にそういった素養しかない、という話なのかもしれんけど。
- 表紙カバーの上下の余白がなんだか間抜けな気がする。