絶対少年 #1〜26

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マテリアルフェアリーなる存在をめぐって少年少女が泣いたり笑ったり怒ったりする日常系ファンタジージュブナイル。会話劇中心で話が進んでるんだか進んでないんだか分かりにくいところは、『ROOM NO.1301』辺りと似ているかもしれない。つうか、脚本が押井守に近しい伊藤和典だから、『パトレイバー』とか『イノセンス』とかを挙げた方がいいのか。もしくは『.hack//SIGN』とか。終始ゆったりムードで騒がしいところがないだけに、登場人物たちの関係に現実では当たり前の緊張感がある。二部構成となっていて、最初の田菜編はのんびりとした田舎が舞台だからかどうか知らないけど、そこらへんの独特の雰囲気が極まっていた。田菜編から二年後の横浜編は、みんな心が荒んでいてわりと感情をばしばし口に出すので、辛いっちゃ辛かったかな。


また、やたらと女性陣の足にこだわったフェティッシュなシーンが多かったのも印象的だった。ここら辺は監督である望月智充の嗜好かね。『海がきこえる』もそんな感じのエロスがあった。お、『ヨコハマ買い出し紀行』『ふたつのスピカ』にも関わってるのか。


劇中、1話の中で携帯電話が使われなかったことがなかった気がする、というほど携帯電話が使用されていたのも新鮮だった。

望月 それはさ、現実にも微妙に緊張感はらむ事はよくあるじゃない。その程度の事であって。ただ、全体を凄く日常的にしたから、その現実程度の微妙な緊張でも、観てる方ははっきりと緊張と感じてしまう、そういう事なんじゃないかなあ。

作中で流れる時間をなるべく省略しない、というのをやろうと思ったのね。普通に人間が話していると、10秒ぐらい間が空いちゃったりするものだけど、アニメって大体畳みかけるようなテンポでやりがちでしょう。その10秒間を空けてもいいんじゃないか、と。そうすると、次に何を言うのか、10秒後に何が起こるのか分からないという――来週何が起こるか分からないという事より、うんと小さな事だけど――そういう雰囲気が出せるんじゃないかなあという事には頭を遣いましたね。

NHKってもともと(他局に比べて)フォーマットが長いんです。だから予告をつけないと本編がかなり長くなって、現場的に大変になるんだよね。それでああなった。

望月 まあ、それに関してちょっと真面目な話すれば、キャラクターをリアルに描くという時に、線を多くすればリアルになるという方向性もあるよね。で、『絶対少年』では、影も入っていないし、細かい描き込みもタッチも入ってないんだけど、輪郭はほんとにリアルな、肉の線なのね。それは関根君が考えるリアルな描き方なんだけど、それは非常にいいなと思ってる。そうすると、太股がそこにあるだけで、何かが違うんですよ。だから、太股見せただけでみんなドキドキするでしょ。ネットの感想でも、足の指が開いてるとか、そんな事で結構食いついてくるじゃない。


WEBアニメスタイルより。