ヤマトタケル/氷室冴子/集英社コバルト文庫

ヤマトタケル 歴史ファンタジー (コバルト文庫)


文学少女の本領発揮。古事記ヤマトタケルの記述を元にした絵物語。父親と息子、凡人と非凡人のすれ違いに端を発する悲劇。あとがきで、

目で見て美しい小説、耳で聴いて美しい小説として、清書しました。小説を耳で聴くというのは、奇妙でしょうけど、言葉はおとであり、ドラマです。声に出すことで言葉はいのちをもちます。
(中略)
一度、作中人物になりきって、朗読してみてください。


とあるように、とても文章が綺麗。桜庭一樹少女七竈と七人の可愛そうな大人』みたいに、物語から一枚の絵としてイメージが浮かび上がってくる感じ。本文の内3分の1以上ページをカラー/モノクロのイラストが占めるか、文章中に挿入されていて、すわ電撃ビジュアルノベルの遠いご先祖様かと思ったけど、価格は200P足らずで440円と、当時の相場を考えても良心的。まあ、あっちはハードカバーに金かかってるんだろうけど……。