T.O Entertainmentがライトノベル作家の越境を加速させる、のだろうか

T.O Entertainmentってのがどんな会社か、まだ私もよく理解していないのですが、公式サイトによると、

株式会社ティー・オーエンタテイメントは、作家、アーティスト、映像作家等、多数の人気クリエーターとエージェント契約を行い、各種コンテンツを創出しております。コンテンツの開発方法は大きく分けて二つあります。

1.自社で企画開発し、自社で流通開発するもの。
2.他社とパートナーシップを組みながら開発&プロデュースしてゆくもの。

http://www.toenta.co.jp/about/index.html


ということらしいです。比較的やってることが近そうなのはらいとすたっふや大沢オフィス?あ、あとボイルドエッグズなんてのもあったな。2003年4月創立。世間的には、私と同じように2004年にスタートした冲方丁の文芸アシスタント制度で知った人が多い気がする。『ライトノベル完全読本』の奥付にも名前が載ってました。ぐぐってみると、代表取締役社長の本田武市、常務の柴田維らは元々角川書店の人(後者は現富士見書房ファンタジア文庫/ドラゴンマガジンの編集)だったらしい。一緒に仕事している作家は、表に出ている名前を挙げると冲方丁榊一郎秋田禎信三田誠など、それとライトノベルとはあんまり関係ないですが『呪怨』の大石圭、なんてのもいるみたいです。そのお仕事の成果は、アニメだと冲方丁シュヴァリエ』、榊一郎CODE-E』『神曲奏界ポリフォニカ』『ストレイトジャケット』、小説だと秋田禎信カナスピカ』、谷崎央佳『ベクシル〜my winding road〜』、三田誠の短編の「FICTION ZERO」への掲載、などに現れてるみたいです*1


んでまあ、どうもその傾向を見るに、ライトノベルレーベル以外の出版だったり、アニメや映画の脚本だったり、ノベライズだったり、そういうのを積極的に推進してるみたいに見えます。『カナスピカ』も、元はどこかのテレビ局の開局50周年記念ドラマ企画の脚本として書かれたものだとか。作者公式によると、現在も秋田は映像のお仕事をしているみたい。2007年は作家がアニメ脚本を担当する事例が多かったですが、それを会社ぐるみで推進してるのがここ、ということになるのかな。ってまあ、考えてみれば当たり前の話ですよね。富士見ファンタジアでデビューした作家が富士見ファンタジアで仕事するのに、こういう会社に仲介してもらうってのもおかしいし、ライトノベルレーベルならデビューしたところと他のところを行き来してる例も数多くあるわけですから。必然、お仕事を紹介してもらうならそれ以外を……となる、のかな、と。ああいや、業界ワナビー気質を持つ人間が確証なしに言ってるだけなんで、全然違ってたら一笑に付してくれて構わないのですが。


その作者が越境した結果どうなるか、は分かりません。上に挙げた内、私が観ていた某アニメとかなかなか厳しい出来でしたしね。過去に越境していった作家のファンの一部がそうであったように、自分が期待していた路線とは全く違った方向に進んで、残念がる結果に終わるのかもしれない。ただまあ、好きな作家が色々やれる、というのは素直に喜んでおこうと思います。

*1:例えば、同じ三田誠の仕事でもTOEのメルマガ等では『レンタルマギカ』の新刊なんかには一切触れてなくて「FICTION ZERO」に関しては情報を掲載してるのは、この会社が関わったかどうかに拠るのかな、と推測してるのだけど。違ったらごめんなさい