丘の家のミッキー(1) お嬢さまは辛いよの巻/久美沙織/集英社コバルト文庫

丘の家のミッキー 1 お嬢さまはつらいよの巻 (丘の家のミッキーシリーズ) (コバルト文庫)


久美沙織は、『小説ドラゴンクエスト』を大昔、『スレイヤーズ』以前に読んで、最近では『小説エマ』なんか面白かったけど、オリジナルは実は初めて。ああ、でも『聖霊ルビス伝説』はほぼオリジナルみたいなもんか。


名門お嬢さま学校の華麗な世界で何不自由なく暮らしてきた主人公が、さる事情で引っ越して、田舎の「野蛮な」女子高に通うことになり、色々とカルチャーショックを受ける。後半には慣れた(というか、主人公が成長したから?)けど、前半は主人公視点の一人称がひたすらきつかった。その後成長することが分かっていても、主人公の心の狭さ、主人公がいたお嬢さま学校を妙にからかう女友達(でも実はこいつがいい人で、正しいことを言ってて、主人公は諭される、という)、そういうキャラクターの配置をした作者が受け入れ難かった。同時期のコバルト作家で、同じ女子校ものを書いている氷室冴子と比較するなら、文章表現的にはナチュラルで過不足ないものを書く氷室冴子より、多少装飾過剰なくらいの久美沙織の方が好きなんだけど、一人称ではそれも発揮されず。勿論下手っぴというわけではなく、すらすらと読めて流石に巧いなあとは思うんだけど、ああいう性格の主人公が視点人物ってのは好き嫌いあるよなあ。せめて三人称だったらなあ。『小説ドラゴンクエスト』『小説エマ』なんかは、わりと大絶賛なのだけど、作品によってここまで評価が異なるのも自分としては珍しい。


あと、日日日の解説その他で、毒舌……というか、なんというかな作者像を見てしまって、読んでるとその姿が目につく、ということもあった。豪屋大輔の陰湿さに比べると、久美沙織は喧嘩上等って感じ。