陰陽師は式神を使わない 陰陽道馬神流初伝・入門篇/藤原京/集英社スーパーダッシュ文庫

陰陽師は式神を使わない (集英社スーパーダッシュ文庫)


別に、こういう形式がライトノベルレーベルにあってもいいとは思うけど、主人公、ひいてはその背後にいる作者の、あからさまに挑発するような語り口にムキムキさせられた。こういう安い挑発に乗らずに作者の真の意図を読み取ってこそ、みたいなこという人もいるけどさー。はっきり言ってそこまでする義理はないですよ。他の人が感想で書いているように、教え方が上手い、ともあんまり思えなかったし、興味も持てなかった。最後の方、ほとんど斜め読みだった。


というか、いくら作者の言いたいことを言うためとはいえ、ヒロインがあっさりと主人公に洗脳されすぎ。仮に、こういう作品でよく想定されている、常識に何の疑問を持たない人間ってのがいたとして(実際にはそんな人いないだろうけど)、世の中の常識とされてることは全部でたらめなんだ、とばかりに新しい価値観を提示してくれる人間が現れて、ほいほいそれに飛びつちゃう、って展開(実際はそこまで単純でもないけど)が好きじゃないんだよなあ。『カイジ』でも誰かが似たようなこと言ってた気がするけど、渡る世間は詐欺師ばかり、と教えてくれた人間こそが詐欺師なんじゃないかと、どうして疑わないんだろう。似たような人物配置でも、京極堂とかはわりかし素直に受け止められたんですけどね。あー夢枕獏読んで口直ししようかな。