陰陽師/夢枕獏/文春文庫

陰陽師 (文春文庫)


陰陽師ブームを巻き起こした映画の原作。連作短編。独特のテンポを持つ文章が読んでて心地いい。特に晴明とその親友・忠政による酒を酌み交わしながらの掛け合いは毎回似たようなパターンなのに読んでて飽きない(1巻目だから当然だけど)。


これが88年、先日読んだ『キマイラ・吼』が82年。どっちかというと『陰陽師』のが好きかなー。どっちも改行が多いこと、読みやすいことでは共通しているけど、ライトノベルかそうじゃないか、という話になると、うーん……多分、片方読める人はもう片方も基本的には読める、とは思うんだけど。『キマイラ』の方が、今『陰陽師』と比べると多少古く感じられるのは、単純に書かれた時機のズレのせいか、前者が(つまり、書かれた当時の)現代を、後者が平安時代を舞台としているせいか。『キマイラ』では、まだパソコンが珍しいような描写があったし、台詞回しも少々時代ががってたしなあ。