フルカラーにすることによって漫画から失われる何か


個々の性癖の違い、ということは分かった上で。


現在、「犬」でぐぐると一ページ目に表示されるところの漫画家の人原作のOVAasin:B000OCY5M8 / 紹介ページ)を観ました。結構評判いいみたいだけど、個人的には微妙……。やー、まあ、贔屓目抜きで見てもここ最近のあの界隈でこの質なら合格だろうな―とは思うんだけど……。これはアニメのビジュアルが公開された時点からある程度予想はしてたんだけど、なんか硬いんだよなー、肌の質感が。こう言ってどれだけの人が納得してくれるか分からないけど、漫画⇒アニメに変換する過程で色がついた時点で柔らかさが失われたというか。原作はあのぽよぽよした、柔らかそうな体がお気に入りだったので、尚更そう思う。一般向けの作品ならそういうことあんまり気にしないんだけど、アレゲなアニメの場合、そういうのも立派に評価の対象になるので、結構減点。


こういうパターンってよくあるんだけど、なんでだろねー。単純に、いかにもアニメアニメした、現実では存在しないようなケバケバしい色を使ってるせい?逆に、その手のアニメで質感がよかった例というと、雷火剣という監督の一連の作品とか。まあ、ちょっとボンレスハムみたいに肉感的過ぎるような気もしたけど。あとは、今期の一般向けだと『おお振り』とか、原作のあの微妙な質感をうまく再現してるなーと思ったけど、そういうのとどこが違うんだろなストレンジカインドオブウーマン。


話はちょっと変わって、同じ漫画でも、元々モノクロで描いてるものをカラーにすると絵から動きが失われるってのはよく見るんだけど、アレゲな漫画の場合特にそういう傾向が強い気がする。好きな漫画家でも、カラーになると途端に惹かれなくなったり。豪華フルカラー、とかよく煽るけどさ、自分の好きな漫画がカラーになって嬉しい人ってのは、どれくらいいるんだろうなー。いやそういう煽りが消えないってのは商売として成り立ってるってことだから、嬉しくない人ってどれくらいいるんだろうなー、というほうが正しいか?ハナハルとか、ただででさえそっち方面での仕事が減ってきてるのに、カラーの仕事が多くて……。たまの登板だからこそ見栄えをよくしたい、というのは分かるんだけども。


……なんだろな、白黒だとある程度読者に想像の余地が残ってるのがいいのかな。bolze.とか、ある程度ラフな線で描かれたアレゲな漫画の方が好きなのと同じ。