魔術士オーフェン無謀編(2) 馬鹿は一人でたくさんだ!/秋田禎信/富士見ファンタジア文庫

馬鹿は一人でたくさんだ!―魔術士オーフェン・無謀編〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)


ちょっと読むまでの抵抗が薄くてすらすら読めすぎる。高校生の頃は新刊出る度にそれまでのシリーズ全部読み直してたからなあ。新規開拓しなくともこれだけ読んでりゃいいやとか思えるのが恐ろしい。


俺の仕事を言ってみろ!:フルーツ共和国は福岡県嘉穂郡に実際に(?)あるらしいです。別にいかがわしいものじゃないけど。


馬鹿は一人でたくさんだ!:死んだ魚でレスリング。ネタの馬鹿馬鹿しさとしてはこれと存在の引き算辺りが二強かなあ。しかし「タニシの集団登校みてえな指」とかよく思いつくよね。ちゃんと想像できる辺りがまた凄い。


てめぇにつきあう義理はねぇ!:「毛糸玉をバラバラに切り刻むのって、とてもいいですよ。悲鳴とかあげませんから、近所の人も騒ぎませんし……」


言いたいことはそれだけか?:「魔王が常闇から伸ばす指」とか「連なる虹見上げて駆けよ」とか、なんて厨房精神を刺激する素敵な呪文。あの世界だと音声を発することが重要で呪文の内容それ自体に意味はないから、逆にどんな呪文を発するかでどんな人かが分かるような気がしなくもない。これは確か17、18の少年の呪文だからまだいいけど、いい大人が「プヌアークの魔剣よ!」とか「シヌークの泉よ」とかいうのはちょっとナルシストっぽい匂いが。いやかっこいいけど。


リボンと赤いハイヒール:性差廃絶主義とミスコン。……なんで性差廃絶主義が黒魔術組織の根幹を為すのか、って語られましたっけ?多分、大きな力(=魔術)を持っている人間は自制心を身につけなければならない→そのためには独立独歩でいなければならない→お互いの性差(弱い部分?)を補い合うとか邪魔、ってことなんだろうけど。タフレム市に結婚制度がないってのもそこら辺が理由なんだろうな、多分。……でも、結婚制度を退廃的と言い切っちゃうティッシが、実は一番自制できてなくて人間として弱い、ってのは、なんというかまあ、ツボではある。